福岡県豊前市の道の駅「豊前おこしかけ」で販売されている地元産ユズの加工品「ゆずペースト」が、フランス・パリに輸出された。開発を主導した「豊前棚田ゆず振興協議会」の白石道雄会長は「豊前産ユズの品質が料理の本場で認められた。知名度アップにつなげたい」と期待している。
白石会長によると、昨年8月、東京の商談会に出品したゆずペーストが、パリで日本食材を販売する会社の目に留まった。「フランス料理のソースにも合いそうだ」と評価され、2月にサンプル20キロをパリへ送った。手軽に風味付けができるため、本場のシェフにも好評を得て、4月に15キロを輸出した。
大分県に隣接する豊前市はユズの生産が盛んで、一部はコメを作らなくなった棚田で栽培されている。白石会長らが2年余りの試行錯誤の末、使い勝手がいいペーストにすることを発案し、2008年に商品化した。製造は主婦14人でつくる「豊前川底柿グループ」(同市上川底)に委託。すべて手作業で、輪切りにして種を取ったユズに砂糖などを加え、煮込んで仕上げる。
そばやうどんの薬味のほか、サラダや鍋物の風味付けなどにも合うことから、口コミで評判が広がり、今では九州・沖縄や岐阜、静岡、千葉、秋田各県の道の駅計9カ所でも販売。10年度の生産量は、08年度の8倍の約8トンを見込む。
2月には「豊前棚田ゆず」の商標登録を申請し、ブランド化への足場を固めた。白石会長は「ユズ農家も高齢化と後継者不足が深刻。海外に販路を拡大し、地場産業に育てたい」と話している。ゆずペーストは140グラム400円など3種類。問い合わせは、道の駅「豊前おこしかけ」=0979(84)0544。
=2010/05/22付 西日本新聞夕刊=