鳩山内閣は21日、来年度の国家公務員一般職の新規採用者数を2009年度比で約4割減らす方針を閣議決定した。当初は「おおむね半減」を掲げていたが、刑務官や海上保安官など「治安の最前線」を担う専門職種は削減の対象外としたため、最終的には4割減に落ち着いた。
具体的には、来年度の新規採用の上限を4783人とした上で、皇宮護衛官、入国警備官など治安を担う職種1279人と、口蹄疫(こうていえき)対策にあたる動物検疫所の獣医師、航空交通管制官を削減対象外とした。09年度の採用実績(7845人)に比べた削減率は全体で39%、治安職種を除くと47%になる。原口一博総務相は閣議後の記者会見で、「減らすと安全や命にかかわるところは除外した」と説明した。
採用半減は、民主党がマニフェストで掲げた「天下りあっせん禁止」により定年前の退職者が激減することから、鳩山由紀夫首相が4月末に検討を指示。総務省が職種ごとの抑制率を、本省の1種(キャリア)と2種は2割減▽刑務官など専門性の高い職種は5割減▽出先機関は8割減――と各省に通知。14日の閣議決定を目指していた。
しかし、「治安を悪化させることはできない」(法務省)、「国税職員が急減すると税収が下がる」(財務省)といった反発が相次ぎ、総務省と各省の調整が難航。閣議決定がずれ込んでいた。