妊娠→薬→堕胎 結婚控えたイケメン医師 焦燥と暴発の果てに…
2010年05月22日12時16分 / 提供:産経新聞
【衝撃事件の核心】
「妊娠しちゃった」。交際女性からこう告げられたら男性はどう感じるだろうか。喜びか、それとも…。警視庁捜査1課に不同意堕胎容疑で逮捕された医師、小林達之助容疑者(36)の脳裏に浮かんだのは、「堕胎」の2文字だった。医師としての知識と立場を悪用し、“保身”という身勝手な動機で宿ったばかりの命を奪ったのであれば、許されることではない。イケメン医師を犯行へと駆り立てた背景には“もう1人の女性”の存在があったという。
■「寝耳に水」…テレビカメラに平然と
5月18日早朝、金沢市もりの里の住宅街。どこにでもある4階建てマンション前には、多くの報道陣が詰めかけていた。
報道陣が見つめる先は2階の玄関ドアだった。午前8時半過ぎにドアが開いた。妻とともに出てきたのは、「容疑者」と呼ばれる直前の小林「医師」だった。「医師」は報道陣に囲まれ、眉間(みけん)にしわを寄せながら知人とみられる男性の乗用車に乗り込み、どこかへと向かった。
「ちょっと待って」
信号待ちの乗用車に近付いてきた屈強な男が声をかけた。警視庁の捜査員だった。
任意同行を求められた小林容疑者は素直に応じ、金沢市内で逮捕された。逮捕容疑は平成21年1月中旬、女性の同意を得ないまま子宮収縮剤を投与し堕胎させたというものだ。
小林容疑者の経歴は華やかだ。横浜市内の開業医の両親を持ち、有名進学校から東海大学医学部に進学。13年に卒業するとともに医師免許を取得した。川崎市中原区内の病院で勤務したあと、16年5月から東京慈恵会医科大学付属病院腫瘍・血液内科に所属。病院では臨床医として白血病の患者の診療などを担当していた。
事件後の21年9月からは1年間の期限付きで、新たな研究や知識の幅を広げ、専門分野の血液学を学ぶため、国内留学という形で金沢大学付属病院(金沢市)に出向中だった。
エリート医師から容疑者へと身分を変えた小林容疑者。この日が来ることは予想していたのだろうか。逮捕直前、マスコミのインタビューに応じ、事件について能弁に語っていた。
「薬を打って堕ろさせたとか、何とかって言うのは寝耳に水ですね」
「栄養剤として薬を打って流産や堕胎を狙って処置したことは一切ありません」
「私自身の子供を誰かに身ごもらせたというのはないですね」
人の命を救うべき医師が新たな生命を奪ったのはなぜか。捜査関係者の証言などをもとに事件を振り返ってみる。
■「ビタミン剤です」…望まぬ妊娠に渡した正体は
20年暮れ。30代前半の女性看護師は体の奥にわずかな異変を感じた。
「もしかして…」
検査キットで調べると、やはり妊娠していた。女性はすぐに小林容疑者に妊娠の事実をメールで伝えた。
〈妊娠した〉
メールを受け取った小林容疑者は驚愕(きょうがく)し困惑したに違いない。妊娠、出産というのは望んでいなかったからだ。そしてある考えを思いついた。
《子宮収縮剤を投与すれば胎児はこの世からいなくなる…》
翌日、小林容疑者は早速、行動に移った。勤務する東京慈恵会医科大学付属病院に行き、担当していた無関係の女性入院患者の名前を使い、子宮収縮剤の処方箋(せん)を薬剤部に提出、錠剤を入手したのだ。
それから10日近くたち、年が明けた1月上旬。小林容疑者は女性宅を訪れて6つの錠剤を渡した。女性は妊娠中のため服用を控えていたが、小林容疑者からこんなメールが届いた。
〈ビタミン剤です〉
女性は小林容疑者を信じ服用した。それは3日分の「子宮収縮剤」だった。薬の服用による体調の急変はすぐ起きた。その際には流産には至らなかったが、救急搬送される事態となった。
さらに、数日がたった1月中旬。「もっと元気になる」。こう言われ、女性は錠剤の服用以外に点滴もされた。
その直後のことだった。女性は体の内側が締め付けられるような激しい腹痛に見舞われた。トイレに駆け込む女性。6週目を迎えていた小さな命は流れ落ちていってしまった。
小林容疑者に妊娠の事実をメールで知らせた約10日後のことだった。
■犯行を急ぐ理由…守りたい“もう1人の女性”
「小林容疑者は犯行を急ぐ必要があった。結婚が迫っていたからだ」
犯行がわずか10日あまりで敢行された背景について、捜査関係者は別の女性との「結婚」があったと指摘する。
女性の妊娠を知った数日後に小林容疑者は、現在の妻との結婚が控えていたというのだ。これから始まる新しい女性との新しい生活。そのためには「子供」が邪魔だったというのだろうか。結婚から数日後には女性を流産させていた。捜査1課は結婚を控えていたことが犯行の動機につながるとして重視している。
小林容疑者は21年7月、川崎市内に中古マンションを購入。新婚生活を送っていた。だが、小林容疑者にはやるべきことがあったと捜査関係者は指摘する。
「それは女性との“不倫関係”を続けることだ」
流産後に出血が続いたことから、病院で診察を受けた女性。処方された薬が小林容疑者から受け取ったものと同じだったことから疑念を抱いていたのだ。
「ずっと交際を続けよう」
小林容疑者は女性にこうささやき、流産後も数カ月にわたって交際を続けていた。さらに、小林容疑者は別の女性と新婚中の身であるにもかかわらず、女性と結婚する意思があるようにも持ちかけていたという。
小林容疑者は「婚姻届」まで準備していた形跡もあるとされ、捜査1課は、これらの行為は交際を長引かせ、警察への通報を遅らせるための偽装工作だった可能性もあるとみている。
■少ない摘発と難しい立証…立ちはだかる捜査の壁
「薬を飲まされ、だまされた。出産するつもりだった」
約1年間に及ぶ交際を終え、女性は21年12月、警視庁本所署を訪れた。女性は小林容疑者が既婚者だったことは知らなかったという。
女性は保管していた点滴パックと錠剤のほか、流産の際に体内から流れ出た組織片などを提出した。捜査1課はこれらを鑑定し、妊娠の状況や薬剤の摂取量と堕胎との関連について調べている。
捜査1課は不同意堕胎容疑で捜査しているが、同容疑での摘発例は平成10年以降、未遂と致死傷を含めてもわずか5件しかない。それだけ捜査が困難であるともいえる。
「捜査は女性の供述に頼らざるを得ないため、否認を続ける小林容疑者との間で、水掛け論になりかねない」
元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は、立証の難しさをこう説明する。
また、ある捜査幹部は事件をこう説明する。
「当事者2人にしか分からない男女関係、そして、閉ざされた密室での出来事。事件を難しくさせる要素は多い」
難航も予想される事件だが、捜査の鍵となる錠剤の入手ルートや女性が残していた物証などが明らかになりつつあり、捜査1課は密室での犯行を着実に解明しつつある。
小林容疑者の父母が開業している医院の近くの住民からは「町の名医でとてもいい方で信頼も厚い」「父母は親切でいい先生、どこかに行かれたら困るから悪く書かないでくれ」との言葉が聞かれた。
父母を心配する住民の言葉は、小林容疑者にどう響いているのだろうか。支払った代償はあまりにも大きい。
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