哨戒艦沈没:魚雷に残されたハングル「1番」のナゾ
「技術者が製造過程で部品に記したもの」
油性ペンで記入、「爆発でむき出し」になる点を見落とした可能性も
韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事故の原因究明に当たっていた韓国軍・民間合同調査団は20日、引き揚げられた推進軸の後部にハングルで書かれていた「1番」という文字が、北朝鮮の攻撃を立証する、もう一つの決定的な証拠であることを発表した。2003年に韓国海域で回収された北朝鮮の訓練用軽魚雷にも、「4号」という文字がハングルで書かれており、今回発見された「1番」は、北朝鮮が魚雷を製造する際に付ける通し番号の一種で、03年に見つかった「4号」の表記方法と同一というわけだ。魚雷のような兵器にハングルを表記するのは韓国と北朝鮮しかなく、韓国のものではないことが確認された以上、北朝鮮の魚雷であることは明らかとの説明だ。
韓国軍が公開した魚雷の推進軸には、水色で「1番」という文字が記されていた。刻み付けたり印刷したりした活字体ではなく、手書きの文字だった。一部では「2カ月も海中に沈んでいたのに、文字が鮮明すぎる」との疑問の声も挙がっているが、軍は「水では消えない油性ペンで書かれたようだ」と説明した。軍では、今回発見された魚雷の「1番」と、7年前に回収した北朝鮮の軽魚雷の「4番」に使われたインクの成分分析に着手した。手書き文字の字体だけでは北朝鮮が書いたとの根拠に欠けるとの指摘に対し、合同調査団情報分析チーム長のファン・ウォンドン中将は、「ほかの国がハングルで1番と書くことはない」と述べた。字体よりも、ハングルそのものに注目して分析したとの主張だ。
北朝鮮が、自身の仕業であることが発覚するような「1番」という「指紋」を残したまま魚雷攻撃を敢行した理由についても、疑問が提起されている。これについて合同調査団の関係者は、「『1番』という文字は、魚雷の製造過程で技術者が書いたとみられる」と語った。「1番」や「4号」という文字は、完成された魚雷の外部に書かれたものではなく、製造過程で技術者が一時的に部品に書いたため、印刷ではなく油性ペンで記された可能性がある。完成品の魚雷は外側がアルミニウムで覆われており、内側の部品(推進軸)に書かれた「1番」の文字は、魚雷の爆発でアルミニウムが吹き飛ぶまでは目に付くことはない。魚雷が爆発すれば部品に書かれた「1番」の文字がむき出しになるという点を、北朝鮮軍が見落としていたとみられる。
鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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