目立つ巨体で女装、女湯侵入の防衛省技官

　防衛省航空装備研究所の技官の４２歳の男が、東京都渋谷区にある銭湯の女湯に侵入した上、従業員にけがを負わせたとして、建造物侵入と傷害の疑いで現行犯逮捕されていたことが２０日、警視庁代々木署への取材で分かった。同署によると、男はかつらをつけ、ファンデーションで化粧をするなど女装していたという。だが約１７０センチの身長に、推定９０～１００キロの巨体は隠しようもなく、銭湯の番台では、入店当初から目をつけていた。

　代々木署によると、男は東京都立川市の寺本康博容疑者。逮捕容疑は１７日午前０時過ぎ、渋谷区にある銭湯の女湯脱衣所に侵入。従業員に声を掛けられ逃走した際、男性従業員を突き飛ばし、アキレスけんを切る大けがを負わせた疑い。同容疑者は「間違いない」と容疑を認めているという。

　体重９０～１００キロはあろうかという巨漢が、銭湯に入ってきたのは午前０時１５分ごろ。黒のズボン、長袖Ｔシャツの上にベストという服装で、ショートボブの黒髪に、顔には薄くファンデーションを塗っていた。銭湯関係者によると「女性と言われれば、何とか女性にも見えるという感じ」で、見た目のイメージは「マツコデラックスか大木凡人」。従業員が、入店前に周辺を何度もうろうろする姿を目撃しており、銭湯では当初からヘンだと思っていたという。

　寺本容疑者は女湯の脱衣所に入った後も、いすに座ったままで服を脱ぐ気配なし。「これはますます怪しい」と従業員が声を掛けたところ、一目散に逃げ出した。追いかけた男性従業員を突き飛ばし、約３０メートルほど逃走したが、最後は通行人の３０代男性に取り押さえられた。髪はかつらだった。

　防衛省によると、寺本容疑者は同省航空装備研究所の技官で、普段は自衛隊の武器、兵器関係の研究に従事していたという。同省では「職員が不祥事を起こしたことは誠に遺憾。再発防止に全力を期したい」とコメントした。

　［2010年5月21日9時8分　紙面から］