霊園の墓所で女性モデル2人のわいせつなポーズを撮影したとして、東京区検は20日、礼拝所不敬と公然わいせつの罪で写真家篠山紀信さん(69)を略式起訴した。「撮影場所やポーズはすべて篠山さんが決めた」として、モデル2人は起訴猶予とした。
警視庁が1月、ヌード写真集「20XX TOKYO」のために結婚式場、百貨店前など計12カ所で撮影したとして公然わいせつ容疑で3人を書類送検していた。
事件は表現の自由をめぐり論議になったが、検察側は(1)祖先の墓がある市民が不快な思いをした(2)通行人の通報を受けた警察に対し「下着をつけていた」とうその上申書を提出して撮影を続けた-の2点を特に悪質と判断、現場を墓所に絞って立件した。
礼拝所不敬罪は、仏堂、墓所などの礼拝所に対し、公然と尊厳を汚す(不敬)行為で、法定刑は6月以下の懲役もしくは禁固、または10万円以下の罰金。わいせつ事件で適用されるのは異例。
篠山さんは略式起訴を受け、おわびとともに「この事件がきっかけになって、創造のエネルギーが抑止され、表現することが窮屈になってしまわないだろうか」などと記した文書を公表した。
(2010年5月20日)