「大相撲夏場所11日目」(19日、両国国技館)
横綱白鵬が、賜杯をほぼ手中に収めた。大関魁皇をすくい投げで退け、初日から11連勝。2敗で追っていた大関把瑠都は、日馬富士に敗れて3敗目。2敗は平幕の阿覧だけとなり、早ければ13日目に14度目の優勝が決まる。自身初となる2場所連続全勝優勝にも期待が膨らむ。
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白鵬が慎重な相撲で、ベテラン大関を料理した。魁皇が得意な左四つで組み合い、土俵中央で対峙(たいじ)。小手投げを警戒しながら、じっくりと様子をうかがい、最後は豪快なすくい投げで11個目の白星を並べた。
自身今場所最長となる35秒3の“大相撲”に、息を切らせながら花道を引き揚げ「時間かかりましたね」とポツリ。「自分も十分だけど向こうは十二分」と話し、「一気にいきたかったけど、慌てず一呼吸置けたのが良かった」と息をついた。
目の前で把瑠都が3敗目を喫し、賜杯レースは完全に独走態勢に入った。「一人旅ですね」との質問には「一人旅かな?(2敗に阿覧が)いるでしょ。二人だよ」と冗談めかしたが、「余裕はあるよ、正直。当然っちゃ当然だけど」と笑みがこぼれた。14度目の優勝は、手にしたも同然だ。
優勝力士には「宮崎県知事賞」として、宮崎牛特選肉1頭分が贈呈される。宮崎県では口蹄疫感染が拡大しており、数十万頭の牛や豚が殺処分される見込みとなっている。宮崎牛への不安が募るが…。
宮崎県庁農政水産部畜産課肉用牛振興担当の職員は、「知事賞の変更は考えていません」ときっぱり。「流通している宮崎牛は、しっかりと検査しており安全です。(知事賞として)贈呈することで『宮崎牛は大丈夫ですよ』とアピールできれば」と期待をかけた。
「食べることは全然問題ないので、優勝力士にも安心して食べていただきたい。最高においしい特選肉を贈らせていただきますので」。優勝した暁には、横綱が宮崎牛の“安全PR大使”を務める!?