ボクシングのWBC世界バンタム級王座から陥落した長谷川穂積(29)=真正=は20日、神戸市内の所属ジムで開いた記者会見で、4月30日に4回TKO負けを喫し、11度目の防衛を阻止されたWBO同級王者フェルナンド・モンティエル(31)=メキシコ=との再戦を熱望した。長谷川は「取られたベルトを取り返す」と雪辱を誓い、年内のリベンジマッチ実現へ向け新たな一歩を踏み出した。
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瞳の輝きはそのままだった。3週間ぶりに会見の場に現れた長谷川は「4月30日に取られたベルトを取り返す。これを一番に考えている。負けたままでは終われない」と宿敵モンティエルとの再戦を熱望。バンタム級王座奪還へ力強く拳を握った。
地位も名誉も関係ない。頭にあるのは雪辱の二文字だけだ。「バンタムというよりも取られた物を取り返すだけ。取られたのはモンティエルだから」と一にも二にも、リベンジマッチを最優先する考えを強調した。
山下会長も愛弟子と思いは同じ。「転級についてはリベンジを果たしてから。ベルトを取ってから次のチャンスを模索する」と断言。ここ数戦は、過酷な減量に苦しんできたが「前回の調整でまだいけると実感した。今のボクシングを変える必要はない」と自信を見せた。
敗戦後に発覚した「右角部下顎(かがく)骨骨折」の回復も順調。10日に神戸市内の病院へ入院し、患部固定の手術を行い、14日に退院。体調は万全だが、会長の指示で現在は心身の“充電期間”に充てている。
「動かしたい体を我慢してやっている」と苦笑いの元王者だが焦りはない。本格復帰は6月下旬の予定だが、すでに今週から長男・大翔君、長女・穂乃ちゃんと共に1キロの早朝ランニングを開始した。「今まで時間がなかった。子供のためです」と父の素顔をのぞかせた。
再戦は早くても11月ころになりそうだが「1年以内ならリスクはない」とブランクも気にしない。激励の手紙は勝利の後よりも多かった。「あの試合をやって良かった」‐。不屈の29歳が、再起の第一歩を踏み出した。