・うちの犬、特にしつけたわけではないのですが、
　「待て」が得意なんです。
　ごはんを前にしても、おやつを前にしても、
　「よし」と言われるまで、じっと待っています。
　おもしろいのは、目的を見つめてじりじりと
　いかにもがまんしているように待っているだけでなく、
　ちょっと時間が長くなったりすると、
　ぼくの目を見てみたり、テレビの画面を見たり、
　ただただ時間をやり過ごしていることも多いんです。
　
　いいな、かっこいいなと、
　思って見てるんです、犬のこと。
　この姿勢を、じぶんの生きる姿勢に応用してね、
　「待てる生活」にしたいんですよ。
　「モテるよりも、待てる」ですよ、かっこいいのは。
　待てない、急いでじたばたする、あせる、いらつく‥‥。
　そういうのいまの社会では一般的かもしれないけど、　　　
　かっこわるいでしょう。
　
　いろんな俳優さんとかタレントでね、
　待っている姿がいちばん似合うのって誰だろう？
　待たされていらついてる芝居とかだと、
　たいていの人が板についた演技できそうだけれど、
　「あの待ち姿、いいねぇ」と言われるような芝居、
　誰が似合うでしょうかねぇ。
　いまちょっと思いついたのが堺雅人さんですが、
　故・古今亭志ん朝さんとか、よさそうだなぁ。
　これからも、もっと「待ちの美」を考えてみようかな。

・「待つ」もそうだけど、「動」に対しての「静」って、
　実はとってもむつかしいありようですよね。
　「静」のまま「静」に続く「静」もあるし、
　「動」を含んでいて「動」に至る「静」もあるでしょ。
　幼いころから「落ち着きがない」と言われていたぼくも、
　いつのまにか、だいぶん、静かにしてられるように
　‥‥なってきたような気が‥‥しないこともありません。

　「静」って、態度における「沈黙」ですよね。
　どんな動きよりも、その人が含まれている根であり幹。
　ふむ。「待つ」、「静」、興味深いなぁ。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。
金曜は、鮫ファン、群青ファンにも会えるんですよね。