パチンコをするために生後11カ月の長男を車内に放置して死亡させたとされる母親が被告の裁判員裁判で、秋田地裁(馬場純夫裁判長)は21日、懲役2年6カ月(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。同じような事件がたびたび起きるなか、子どもを持つ裁判員らが親の立場で、厳しい判決を導いた。
保護責任者遺棄致死の罪に問われたのは、秋田県にかほ市の無職堀淳子被告(32)。判決によると、被告は2009年8月、同県由利本荘市のパチンコ店の駐車場の車内に長男を約3時間放置し、熱中症で死亡させた。外気の温度は29度で車内は40度以上にのぼったとみられる。
「子育てを経験した身からすると、考えられない事件。子どもが幼稚園に行けるようになるまでパチンコは待てなかったのか」。判決後の記者会見で、子どもが2人いる40代の女性裁判員は首をかしげた。50代の男性裁判員は「子どもが小さい頃にドライブによく連れて行ったが、車内放置なんてありえない」。被告に長女(6)がいることをふまえ、「(実刑は)家族がかわいそうだと思ったが、被告には事件の重大性を分かってほしかった」と語る女性裁判員もいた。(田中祐也)