「私たちはギャンブルに対して無力であり、思い通りに生きていけなくなった」‐。会合冒頭、代表者が読み上げた「回復のためのプログラム」。会場にいた約60人はその言葉をかみしめるようにうなずいた。福岡県飯塚市で3月、「ギャンブル依存症」からの脱却を目指す人々が自助グループを発足した。
家族にも言えない悩みや苦しみを本音で打ち明けるため、ニックネームで呼び合う。その1人、リセットさんは「徐々に感覚がまひし、借金への抵抗がなくなった。最後は『闇金』に手を出した」と吐露。追い込まれて昨年、自殺を図った。
精神科医療の世界では「自業自得」で済まされてきた向きもあるが、こうした自助グループの取り組みは全国的に広がりつつある。医療支援者は語る。「最良の薬は『人』。良い出会いが回復につながる」。心の病と認め合い、彼らはグループで立ち向かい始めた。 (古長)
=2010/05/01付 西日本新聞朝刊=