ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン高知> 記事

乳児放置死 業界、再発防止策を強化

2010年05月15日

写真

生後6カ月の乳児が車内に置き去りにされ、熱中症で死亡した現場の一帯=高知市東雲町

 高知市内のパチンコ店駐車場で車内に置き去りにされた生後6カ月の乳児が熱中症で死亡した事件。母親が重過失致死の疑いで逮捕されたが、業界の関係者らは、幼い命が失われたことを深刻に受け止める。同様の死亡事例は各地で相次ぐが、今回の事件を受け、現場となったパチンコ店や業界団体は、再発防止への取り組みを強めるという。

 高知署が13日に逮捕したのは高知市桟橋通4丁目の主婦山崎ひかり容疑者(26)。同署によると、長男隼ちゃんを屋外に駐車した車に残し、冷房をかけず、12日午前11時15分ごろから午後2時40分ごろまでパチスロをし、熱中症で死なせた疑いがある。

■車窓スモーク中見えず

 同署によると、隼ちゃんは後部座席のチャイルドシートにいた。現場の駐車場では12日、巡回する警備員もいたが、後部横の窓にスモークがかかり、隼ちゃんは見えにくい状態だったという。

 店を経営する会社の担当者は、子どもを車内に放置している疑いがある車を発見した場合、店内放送で呼び出すようにしていたが、事件当日はそんな疑いがあるとの報告はなかったという。

 現場は、屋内を含めて計630台が駐車できる駐車場の一画で、約100メートル離れた系列店と共同で使っていた。同社は、営業時間内は常駐の警備員1人に駐車場を巡回させていた。店内では子供を車内放置しないよう呼びかける放送を1日に3回流し、ポスターも掲示していた。

 同社は警備員の増員などで再発防止に取りかかる方針。担当者は「こんな結果は我々もつらい。お客様に嫌がられても、疑わしい場合の呼び出しを徹底したい」と語った。

 全国約1万2千店のパチンコ店を束ねる業界団体「全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)」によると、車内に置き去りにされた子どもの死亡事例は1998年から24件あり、25人が死亡。「さらに暑い季節に入るだけに、全国の加盟店に改めて注意喚起する」としている。

■48・7度

 日本自動車連盟(JAF)は2007年4月、外気温と車内温度を調べる実験を実施した。当日の外気温は23・3度。車内は48・7度まで上がった。高知地方気象台によると、事件当日の高知市内の最高気温は午後3時すぎの23・7度だった。JAFの担当者は「乳幼児なら短時間の車内放置で重症になる可能性がある。子供だけを車内に残してはいけない」と話した。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり