支度部屋を訪れたヤクルトスワローズの青木宣親外野手(左)と元レンジャーズの大塚晶則氏(右)にねぎらいを受ける全勝を守った白鵬
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◇夏場所12日目
横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が大関把瑠都を難なく押し出し、12戦全勝とした。平幕阿覧が負けて2敗力士がいなくなったため、白鵬が13日目に勝てば、早々と2場所連続14度目の優勝が決まる。把瑠都は4敗目。琴光喜(34)=佐渡ケ嶽部屋=は北太樹に押し出され、5敗目を喫した。
今場所目玉の新大関を、あっけなくけ散らした。白鵬は把瑠都の突き放しにもまったく下がらない。逆にぐっと踏み込むと、低い体勢から一気に押し込んで土俵の外へ持って行った。
「強く当たった分、下から入れた。(把瑠都も)今場所、なんか元気がないだけじゃないかな」と、相手を気遣う余裕を見せる完勝だ。2敗の阿覧も敗れて、ほかの力士とはついに3差。13日目に勝てば14度目の優勝が決まる。だが「決めれば決めるでいいじゃないですか」と、人ごとのように冷静だ。万全な強さに、2008年名古屋場所以来自身2度目の13日目優勝を確信しているからに違いない。
優勝を確実にして、優勝回数で並ぶ横綱輪島と同じ「黄金まわし」をつける計画も動きだす。当初は「体になじんでいない」と場所中の投入をためらっていたが、「優勝した後ならいいかもね。千秋楽の取組が終わった後に、風呂場で替えて表彰式だけつけようか」と冗談で話していた。それが13日目優勝でさらに前倒しになりそう。この日の朝げいこ後、白鵬は報道陣を部屋から閉め出した。記者の追及にはニヤッと笑って「わかりません」とかわしたが、黄金まわしを試着したのは明らか。最後の2日間は、黄金まわしに輝く横綱の土俵上の雄姿が見られるはずだ。
国技館を引き揚げる時は、観戦したプロ野球の青木宣親(ヤクルト)、中日や大リーグ・レンジャーズなどでプレーした大塚晶則と記念撮影。2人に「パワーをもらった」と感激させた。周りに力を与えるほど充実している横綱。自身3度目となる30連勝の大台達成とともに、きっちり優勝をものにする。(田中一正)
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