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【栃木】市有地の稲荷社処分 小山の旧小野塚家遺産 『政教分離反する』2010年5月20日
小山市が公園として整備を進めている旧小野塚家遺産(同市天神町二)の敷地内にある稲荷社(いなりやしろ)を「市有地に神社を祭ることは政教分離の原則に反する」として処分していたことが分かった。市は「公園には不必要」とも主張しているが、別の公園では稲荷社が祭られたままで、あいまいな対応に市民らから批判の声が上がっている。 (小倉貞俊) 遺産は大正期のしょうゆ工場や蔵など三棟とれんが煙突からなり、二〇〇四年に江戸時代から続く商家の子孫が寄贈した。その後、有識者による検討委員会が「歴史・産業遺産として価値がある」と市に答申。市は二棟を保存、一棟を解体して公園にする方針を決め、工事を始めた昨年八月に稲荷社と一対の狐(きつね)の石像を業者に処分させた。 その一方で、城山公園(同市城山町)に祭られている社や鳥居が問題になったことはこれまでないという。市民団体「小山のまちづくりを考える会」の湯本武代表は「『処分ありき』で政教分離の原則を持ち出したのではないか」と指摘。「稲荷社は商家の歴史と切り離せず、建物と一括(くく)りで保存するべきもの」と訴える。 同市の宮嶋誠総務部長は「公園となる市有地には不必要なので処分した。(城山公園の社は)担当課に任せている」と話すにとどまった。 <政教分離の問題に詳しい百地章・日大教授(憲法学)の話> 政教分離とは、政治が特定の宗教と結び付くのを防ぐための概念。市が稲荷社を安易に処分したのは歴史や伝統、習俗を排除することになり不見識だ。また、ケースごとに対応を変え、その理由を説明できないのは矛盾している。
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