政府・民主党の参院選マニフェスト(政権公約)を検討する企画委員会は21日、原案を固めた。昨年の衆院選で掲げたマニフェストに加え「財政健全化」や「成長戦略」などの項目を新たに加えたが、焦点の消費税増税を明記するかどうかは鳩山由紀夫首相や小沢一郎幹事長が出席する政権公約会議に判断を委ねる方向となった。【大貫智子、高山祐】
原案では衆院選マニフェストに掲げた▽無駄遣い(排除)▽子育て・教育▽年金・医療▽地域主権▽雇用・経済--の5項目に加え、「政治改革」「外交・安全保障」「財政健全化」「成長戦略」の4項目を加えた。子ども手当の支給額については現行の月1万3000円から「上積みする」との表現にとどめ、同党が衆院選で掲げた11年度以降の満額支給(月2万6000円)の明記は避けた。議員定数の削減については「衆院80、参院40程度」と明記。企業団体献金とパーティー券購入の禁止も盛り込んだ。
財政健全化を巡っては企画委は「11年度以降の予算編成は10年度の新規国債発行額(44.3兆円)を上回らないことをベースとする」との方針を確認した。しかし、消費税については「次期衆院選後に税制抜本改革を行う」との方向性は一致したものの、「消費税増税」を明記するかは結論が出ていない。
「消費税増税」明記に積極的な菅直人副総理兼財務相や仙谷由人国家戦略担当相は連携を強めている。玄葉光一郎衆院議員も26日、党内の議員による「国家財政を考える会」をつくり、菅氏らの路線をバックアップする構えを見せている。中堅衆院議員は「『ポスト鳩山』に菅氏や仙谷氏の名前が挙がり、本人たちもその気になっている」と指摘。参院選後に向けた布石との見方も広がっている。
これらの動きに対し小沢氏は「財務省の言いなりになっている」(周辺)と批判的だ。改選を迎える参院議員から「消費税増税を明記すれば選挙は不利になる」との懸念も出始めており、小沢氏側近の高嶋良充参院幹事長は「予算の全面組み替えをやる前に消費税うんぬんというのはいかがか」とけん制している。
・子ども手当はすでに支給している月1万3000円から上積みする。上積みは地域の実情に応じ、保育などの現物サービスにも代えられる
・高速道路の原則無料化を段階的に実施
・農家の戸別所得補償は11年度からの本格実施を目指す
・衆院80、参院40程度議員定数を削減する
・企業団体献金の禁止
・国会議員歳費の削減
・選挙運動の原則自由化
毎日新聞 2010年5月21日 23時03分(最終更新 5月21日 23時08分)