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小5自殺訴訟が和解、北九州市が責任認める

永井君の遺影を手に話す父の昭浩さん(21日午前11時43分)

 2006年3月に自殺した北九州市立青葉小5年の永井匠君(当時11歳)の遺族が、当時の女性担任教諭(依願退職)の体罰が原因として市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は21日、福岡高裁で和解が成立した。市が自殺を防止できなかった責任を認め、学校管理下の事故に共済金などを支給する独立行政法人・日本スポーツ振興センター(東京)が、遺族に共済金2800万円を支払う。

 和解条項は〈1〉市は、校内での教諭の行為が不適切だったことと、自殺を防止できなかった責任を認める〈2〉市は自殺を重く受け止め、再発防止に取り組む〈3〉センターは学校管理下での死亡と認め、共済金を支払う――との内容。

 1審・福岡地裁小倉支部判決によると、元教諭は06年3月16日、永井君が丸めた新聞紙を聴覚障害のある級友に当てたことを注意する際、教室で永井君の胸ぐらをつかみ、「謝りなさい」と体を揺するなどした。さらに、いったん教室を出て戻ってきた永井君をどなった。永井君は再び学校を飛び出し、直後に自宅で首をつって自殺した。

 1審で北九州市は「元教諭の行為は体罰ではない」と主張。しかし判決は、体罰と認定し、自殺との因果関係もあったとして市に880万円の支払いを命令。「学校管理下での事件による死亡は明らか」とし、同センターにも2800万円の支払いを命じた。市、センターが控訴していた。

2010年5月21日  読売新聞)
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