2010年3月23日 19時35分 更新:3月23日 19時50分
【ロンドン会川晴之】深刻な財政危機に陥っているギリシャ支援について、EU(欧州連合)内で、実施時期、実施方法をめぐる対立が激化している。ドイツのメルケル首相は22日、「現時点では、ギリシャは金融支援を求めていない。緊急支援策を話し合う必要はない」と支援は時期尚早と主張。バローゾ欧州委員長は「問題解決を先延ばしできない」と、早急な決着を求める。EUは25~26日の首脳会議で、ギリシャ支援の具体策をまとめる方針だが、調整が難航するのは確実な情勢だ。
EUは16日の財務相理事会で、2国間支援を含むギリシャ支援の枠組み構築に合意、25日からの首脳会議で具体的な支援策を決める方向で調整している。しかし、ドイツのメルケル首相は、緊急支援の必要性が無いと強調したほか、支援方法についても、政府の報道官は「国際通貨基金(IMF)による支援を排除しない」との考えを示し、EU内での問題解決にこだわらない姿勢を打ち出した。
一方、バローゾ委員長やレーン欧州委員(経済・通貨担当)は、共通通貨ユーロの信認を維持するため、首脳会議での決着が必要と強調。ギリシャも早期解決を求めている。ただ、支援方法については、バローゾ委員長が「EU諸国はIMFに多額の資金を拠出しており、最善の道を探っている」と、IMFの活用にも含みを持たせるなど柔軟な姿勢に転じ始めた。ユーロ圏常任議長のユンケル・ルクセンブルク首相も、EU内での問題処理が「好ましい」との見解を示すものの、IMFとEUが協調して支援する手法にも理解を示した。
ただ、フランスやイタリア、オーストリアなどのユーロ圏諸国のほか、ユーロ圏の金融政策を一元的に担う欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は「我々は運命共同体」と述べ、ユーロ圏に所属するギリシャ支援にIMFが乗り出せば「欧州の威信が損なわれる」としてIMFによる支援に強く反対している。