宮崎県で家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)が広がっている問題で、家畜へのワクチン接種が22日にも始まる見通しになった。農林水産省が経営再開までの生活支援など追加の補償案を示したことを受け、東国原英夫・同県知事と地元首長が21日、県庁で協議。感染拡大を抑えるため、接種を始めることで大筋でまとまった。
協議後、黒木健二・同県日向市長は「みなさんのご理解を得られたということ。私としても納得している。22日にも始まるだろう」。別の首長は「補償内容には十分納得していないが、(接種は)理解せざるをえない」と話した。
補償案は、発生農場から半径10キロ内にあり、飼育する家畜がワクチン接種後の殺処分となることが決まった農家が対象。経営再開までの生活費の補助▽ワクチン接種から殺処分までの期間の飼育費用の穴埋め▽殺処分された家畜の死体を埋めた土地の賃料相当分、などを柱としている。
赤松広隆農水相が21日朝、補償案を発表。これを受けて、宮崎県入りしている山田正彦農水副大臣が東国原知事と面会。この内容を示し、早急にワクチン接種を始めたい、と理解を求めたという。
面会後、記者会見した山田副大臣は「一日も早く、燃え広がっている口蹄疫の勢いを止めなければならない」と述べていた。
東国原知事からは、殺処分された家畜の埋設地をめぐり、個人で埋めた土地を国が買い上げることを求められたが、山田副大臣は「無理だ」と答えたという。
この後、同日夕から、東国原知事と、発生が集中している川南町など3市7町の首長らが、協議に入った。協議は非公開で約2時間続いた。
ワクチンは19日夜、宮崎市内に到着。農水省は地元の合意を得て、接種を始める予定だった。しかし、ワクチン接種した牛や豚は全頭殺処分されるため、感染していない健康な牛や豚も含まれる。このため、対象区域に入る地元の首長らが20日、「ワクチン接種に反対ではないが、十分な補償内容の提示が必要」などと反発。接種開始の見通しが立たない状態が続いていた。