口蹄疫対策、国に要望へ 宮崎


2010年04月26日

 県内で10年ぶりの口蹄疫(こう・てい・えき)感染疑い例が確認されてから、26日で1週間。県議会は同日の全員協議会で、ウイルス侵入経路の解明や畜産農家や関連産業の経営安定に向け、十分な予算確保などを国に求める要望書を採択した。東国原英夫知事や中村幸一議長は27日、赤松広隆農林水産相らに支援を要請する。

 要望書の要旨によると、県内の畜産業は農業産出額の約6割を占めており、流通・加工にいたる地域経済全体への影響を懸念。取引制限などの風評被害防止に向けた指導の徹底も要望する。

 県によると、感染の疑いのある牛などが確認された都農町と川南町では、酪農家が24戸で牛約1300頭、肉用牛農家は439戸で約1万2千頭、養豚農家は87戸で15万3千頭を飼育しているという。

 また、県観光推進課によると、県内で九つのイベントが中止され、県外でも、鹿児島県鹿屋市で、9万人が集まる「かのやばら祭り」が中止となった。同県の2小学校が、5月の修学旅行の行き先を宮崎市から熊本市に変更したことも分かり、県は九州各県の観光協会に、行き先変更などによる影響が最小限になるよう協力を要請したという。

 県議からは農家への補償や原因究明を求める声が次々とあがった。社民党県連合代表の鳥飼謙二県議は「激甚災害のようなもの。返済不要な補助金など、国に対して農家への支援を求めていくべきだ」と述べ、東国原知事は「農家の精神的ダメージは計り知れない」と、精神面での支援の必要性も訴えた。

 県は、県精神保健福祉センターや県立高鍋保健所で、口蹄疫被害に伴う電話相談に応じるという。県障害福祉課によると、同センターは2007年に鳥インフルエンザが発生した際にも相談業務に当たった。担当者は「感染が長期化すると不安を訴える人が出てくると思う。関係機関と連携し、万全の態勢でケアに当たりたい」としている。


《朝日新聞社asahi.com 2010年4月26日より引用》