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【話の肖像画】歴史がはぐくむ宮さま教育(下)学習院長・波多野敬雄

2010.5.20 03:13
このニュースのトピックス話の肖像画

 ■「品格あるおおらかさ」が学習院の源泉

 −−愛子さまの問題を通して「学習院らしさ」とは何か、が改めて問い直されました

 波多野 明治23年に当時の三浦梧楼院長は、学習院に学ぶ者が身に付けるべきものとして「智力、体力、道徳、気品」を挙げました。「気品」と「道徳」をあえて挙げているところに、私は「学習院らしさ」の源泉があると考えています。

 今の時代に「気品」といってもイメージがわかないというなら、「品性」または「品格」に近いものと考えればいいでしょう。また、戦後の学習院の基礎を築いた安倍能成院長は「正直と思いやり」、特に「ウソをつくな」と強調しました。

 私自身は「品格あるおおらかさ」であると言っています。

 −−といって、決して堅苦しいものではない

 波多野 むしろ昔から一貫教育を通じて伸び伸びと個性と才能を育(はぐく)む教育をしてきました。だから私はあまり塾とか受験とかに熱心になり過ぎない「おおらかさ」を大切にします。

 私が初等科の時代だったか、李玖さん(李氏朝鮮最後の皇太子、李垠殿下の嗣子)の赤坂のお宅に級友と一緒に呼ばれたときのことです。最新型の自転車があったので、皆がお三時を頂いているときにも私一人、庭で乗り回していたけれど、何も言われなかった。母には「お呼ばれした先で、そんな失礼な」と叱(しか)られましたが、学習院というところは、基本的な道徳そして気品にはうるさかったけれど、日常の行儀作法などは割合自由だったんですね。

 −−学習院出身者にもそれなりの「らしさ」がありますね

 波多野 作家の塩野七生さんは日比谷高校から学習院大学に入った方ですが、好きな勉強を自由に伸び伸びとする校風に驚いたそうです。そこでご自身も哲学科で素晴らしい先生方から好きなギリシャ、ローマをたたき込まれたことで、ヨーロッパに渡ってから著名な学者や名門出身者と話がよくかみ合ったと話しておられました。

 亡くなった世界的な指揮者の岩城宏之さんは中・高等科で私の野球部仲間でしたが、打楽器に打ち込みすぎて、東京芸大を受験しようというときに試験科目のピアノが弾けなかったんです。いかにも学習院育ちらしいのんびり屋だったんですね。

 −−最近、皇族方のなかにも他校へ進まれる方があります

 波多野 学習院は宮さまに適した学校であり、その中で自然にすくすくと育っていただきたいと思っていますが、学習院大学にはご希望の学部がないケースもあるし、宮家にはそれぞれの教育方針もあるでしょう。私の方から「学習院においでいただきたい」とお願いはしないと決めています。(盆子原和哉)

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