【東京】米軍普天間飛行場の返還・移設問題について、琉球新報社は17日、港区の共同通信本社で、安全保障や沖縄問題に詳しい外交評論家の岡本行夫、東京大学教授の藤原帰一、早稲田大学大学院教授の江上能義の3氏による鼎談(ていだん)を開いた。鳩山政権が政府案として5月中の日米合意を目指す名護市辺野古沖への移設案の実現性について、3氏は「実現は困難」との認識で一致した。
鳩山由紀夫首相が5月末という期限を定めた政権の交渉手法も「失敗だった」と指摘。在沖海兵隊の抑止力や基地受け入れと引き替えに実施されてきた振興策の功罪についても多様な意見が交わされた。
在日米軍の抑止力について岡本氏は「私は沖縄に海兵隊が必要と言っているわけではない。日本に海兵隊が必要かどうか、どの程度必要か、ということを米国と十分な対話をしてこなかった」と述べ、これまで日米両政府による議論が不足していたとの認識を示した。
藤原氏は、今後、沖縄県外でも新たに米軍専用施設を建設することは難しいとし、解決策として既存の自衛隊基地の米軍との共同使用の拡大が考えられるとした。江上氏は「命を大切にする政治や東アジア共同体など、鳩山政権が発足当時掲げた方針は沖縄が共感する部分が多い。基本に立ち返り、県外、国外移設の努力をしてほしい」と述べた。
司会は松元剛政治部長が務めた。
(琉球新報)
2010年5月18日