ろうそくデモ2年：米国産牛肉めぐる各国の輸入条件

　2003年12月24日、米国で初めて狂牛病（牛海綿状脳症〈BSE〉）に感染した牛が発見されると、米国産牛肉を輸入していた各国は直ちに輸入中断の措置を下した。輸出ができなくなった米農務省の関係者は、韓国や日本、台湾など主な輸入国・地域を訪れて門戸の開放を求めたが、逆に反発に遭った。米国は要求をしばらく取り下げ、自国産牛肉の安全性を高める方向へと舵を切った。

　その一貫として、米国は04年1月に複数の対策を取りまとめた。狂牛病検査を拡大する「強化された狂牛病監視プログラム」をはじめとして、▲脳やせき髄などの特定危険物質（SRM）の除去▲へたり牛（ダウナー牛）のと畜禁止▲食肉処理を行う際に、圧縮された空気の注入を禁止▲SRMが含まれた肉の食用禁止など、これらはいずれもこの時期に取りまとめられた。その結果、米国は07年5月に国際獣疫事務局（OIE）から、「管理されたリスク国」として認められた。

　これを土台に米国は、牛肉の輸出について各国と個別の交渉を開始し、門戸を少しずつ開放させた。そのため、各国の事情や交渉力によって条件も変わった。米国産牛肉の最大の輸入国メキシコは、04年3月から輸入を再開し、韓国と同様「生後30カ月未満の骨付き牛」を輸入している。自国の牛に対して全数検査を行っている日本は、05年12月から「生後20カ月以下の骨付き牛」の輸入を開始した。

　日本に続き、06年1月に韓国は、韓米自由貿易協定（FTA）交渉の四つの前提条件の一つとして、「生後30カ月未満の骨なし牛」の輸入を決めた。そして、FTA交渉が最後の詰めに入っていた07年3月、当時の盧武鉉（ノ・ムヒョン）大統領はブッシュ大統領との電話会談で、「OIEの勧告を尊重し、合理的なレベルで牛肉市場を開放する」と約束した。この約束に従い、盧武鉉政権は米国と交渉を行ったが、最終的な合意に至らないまま政権が交代した。

　交渉を引き継いだ李明博（イ・ミョンバク）政権は、韓米首脳会談直前の08年4月18日に交渉を妥結した。OIEが定めた特定危険物質を除き、年齢や部位に関係なく牛肉を輸入できるようにしたのだ。

　この交渉は、「拙速・朝貢外交」という激しい非難と反発に見舞われた。「再交渉は行わない」と最初は表明していた政府も、これらの批判に屈し、最終的に「生後30カ月以下の骨付き牛」という条件で、同年6月20日に改めて合意した。ろうそくデモのおかげで、「生後30カ月以上」の牛肉が輸入できなくなったのだ。

　現在、米国産牛肉の10大輸入国で、「生後30カ月未満の骨付き牛」を輸入しているのは韓国を含む5カ国で、2カ国（カナダとオランダ）は部位や年齢に関係なく輸入を行っている。欧州連合（EU）は狂牛病のリスクではなく、成長ホルモンの投与を理由に、米国産牛肉の輸入に大きな制限を設けているため、実際の輸入量はわずかだ。

チェ・ギュミン記者

【ニュース特集】米国産牛肉輸入問題