ろうそくデモ2年：恐怖を拡散させたメディア（中）

　MBCで医学分野を専門に担当するS記者は、08年4月30日の「ニュースデスク」で、「韓国人は、英国人や米国人よりも狂牛病に感染する確率が2−3倍高い」「大災害の始まり」などと発言した。当時S記者は、一連の報道を通じて、「狂牛病のリスクを過小評価する見方もあるが、これは科学的な無知による誤った考え方だ」と主張し、狂牛病に対する恐怖に医学的な裏付けを与えようとした。

　しかし、韓国人の遺伝子が人間狂牛病に感染しやすいという主張は、医学的に根拠がないことがすでに明らかになっている。「大災害」どころか、米国でもここ2年間に狂牛病（牛や人間）は1件も発生していない。

　S記者は本紙による電話インタビューに応じ、「当時出回っていた話の中には、科学的な根拠がないものも多かった」と認めた。一方、大災害が始まる可能性があるという見方に対しては、「狂牛病は進行形だと思う。大災害の始まりという表現は、そのようなシナリオの一部で、十分にあり得るものだ」と述べ、今も考えが変わっていないことを明確にした。

−当時の報道について、今はどう考えているか。

　「政府が一方の話（安全）ばかりしていたため、別の話をしたに過ぎない。もし政府が100%危険だと言っていたら、わたしは安全だと主張していただろう」

−一部では、生後30カ月以下の牛肉も危険だと主張していた。

　「『プリオン病』（狂牛病のことを指す）はリスクが低いのは事実だ。しかし国が政策決定を行う際、国民には（わずかな可能性でも）しっかりと説明しなければならない。わたしはかつて医者だったが、盲腸の手術を行う際に死亡する可能性は非常に低い。それでも10万人を手術する場合、全員にわずかなリスクについても説明するだろう」

−「盲腸の手術を受ければ全員死ぬ」という誤ったうわさが広まれば、「それほど危険ではない」と報じるべきではないのか。

　「後で正確な情報を伝える努力はした」

−そのような報道は、調べても見当たらなかったが。

　「ハハハ」

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