46人が犠牲になった韓国の哨戒艦の沈没事故について、韓国政府は「北朝鮮の魚雷攻撃によるものだった」と断定しました。北朝鮮側は報告を「ねつ造」だと否定する一方で、韓国側に証拠品を見せるよう要求しました。
真っ二つに切断された巨大な船体。今年3月に朝鮮半島西側の黄海で沈没した韓国軍の哨戒艦「チョナン」。韓国軍の兵士46人が死亡したこの事件は何者が引き起こしたのでしょうか。
20日午前、韓国、アメリカなど6か国による合同調査団が最終報告を発表しました。
「哨戒艦チョナンは、北朝鮮製の魚雷による外部水中爆発の結果、沈没した」(民軍合同調査団 団長)
導き出された結論は、北朝鮮による魚雷攻撃でした。北朝鮮の魚雷攻撃と断定した調査団の会見。現場海域から回収された魚雷のスクリュー部分などが公表されました。
「これが駆動用のモーターだろう。リアを介してシャフトがあり、駆動部のいろいろな部分が回収された。これは恐らく北朝鮮が独自に開発したものと思われますね」(元海上自衛隊潜水艦『せとしお』艦長 山内敏秀氏)
スクリュー部分の裏側にはハングルで「1番」と書かれています。さらに、部品の形が北朝鮮が輸出用に作成したパンフレットの魚雷の設計図と一致。これらのことから調査団は、北朝鮮製の重魚雷「CHT−02D」が使われたと特定しました。高性能爆薬を250キロ使用し、ソナーによって相手を追跡できる重魚雷です。
「250キロの高性能炸薬であれば数千トンの戦闘艦を撃沈できる。あるいは米空母でもかなり大きなダメージを与える。沈没までの時間というのは数分から数十分という短い時間だった」(元海上自衛隊潜水艦『せとしお』艦長 山内敏秀氏)
全長7.35メートル、重さ1.7トン。この魚雷が船体の真下で爆発し、衝撃波と気泡が猛スピードで広がるバブルジェット現象によって哨戒艦を真っ二つにしたと言います。
現場は韓国が海の軍事境界線と定める北方限界線の近く。調査団は「事件発生当時の海域の状況から、130トン級の小型潜水艇から発射された以外には説明ができない」とまで踏み込みました。
「(北朝鮮が)潜望鏡を上げて目標(哨戒艦)を視認し攻撃をしたと考えるのが最も妥当だと」(元海上自衛隊潜水艦『せとしお』艦長 山内敏秀氏)
韓国軍の元幹部は、北朝鮮側の緻密な作戦があったと分析します。
「(北朝鮮の潜水艦は)波の高さ引き潮の時間、月光の光をすべて計算した。撃ったあとの潮の流れもぴったり見計らった」(韓国海軍元准将 アン・ビョング氏)
北朝鮮の狙いは一体どこにあるのでしょうか。現在は韓国に亡命している北朝鮮の武器輸出の担当者だった人物はこう語ります。
「(2009年11月の北方限界線での交戦で)北朝鮮側に多くの死者が出て、軍の士気が低下しました。そこで今回、報復が行われたのです」(北朝鮮の武器輸出 元担当者)
なぜ、わざわざこの時期にことを起こしたのでしょうか。この人物は、北朝鮮の論理からすれば、何の不思議もないことだと話します。
「北朝鮮の軍は自らの任務遂行のためなら、政治や外交のことなど考えないのです」(北朝鮮の武器輸出 元担当者)
韓国の調査報告発表に対して、アメリカは・・・
「アメリカは韓国の調査結果を強く支持する。我々は今後、数日間、大変深刻な状況に直面するだろう」(アメリカ キャンベル国務次官補)
ホワイトハウスも声明を発表し、「今回の攻撃は北朝鮮の責任である」と指摘した上で、「これは朝鮮戦争の休戦協定違反だ」と厳しく批判した。
一方、今後、国際社会の対応のカギとなる中国は・・・
「とても不幸な出来事だ。適切に処理し、朝鮮半島の平和と安定を維持することが、この地域の国民の願いであり、関係各国の利益に叶うことだ」(中国 崔天凱 外務次官)
各国が慎重に対応するよう求$a$^$7$?!#
「(今回のことで)我々に制裁や打撃を加えるならば、我々は全面戦争で応えるでしょう」(北朝鮮の軍関係者)
北朝鮮側は報告をねつ造だと否定する一方で、証拠品を見せるよう韓国側に要求。調査団を派遣する用意があるとしています。
「我々の国家的利益を侵害する『制裁』なるものに対しても、ただちに全面戦争を含む強硬措置をもって応えるであろう」(朝鮮中央テレビ)
韓国のイ・ミョンバク大統領は、断固たる措置をとると明言していますが、軍事的な報復に出ることはなく、国連安保理に北朝鮮への制裁を求めていく方針です。(20日17:52)