福岡県町村会が詐欺、贈収賄事件を受けて設置した組織見直しの検討委員会に、贈賄罪で起訴された前会長で添田町長の山本文男被告(84)=保釈=が委員として参加していることが20日、明らかになった。山本町長は田川郡町村会長として県町村会の理事を続けていることを理由に、ほかの理事と一緒に選任されたという。事件の当事者を再発防止論議に加える町村会に対し、自浄能力を疑う声が上がっている。
町村会事務局によると、検討委は理事(町長12人)の定数や事務局態勢の見直しなどを協議する。19日の理事会で委員の人選を話し合ったが、理事12人中、正副会長4人と、同時に設置した詐欺事件の調査委員会に入った理事2人を除く6人を「自動的に」選んだという。山本町長は理事会を欠席していた。
複数の理事によると、理事会では「事件の当事者が改革委の委員を務めるのはいかがなものか」との声も上がったが、山本町長のリコール(解職請求)運動が起きていることや、6月に初公判を控えていることから「本人が出席することはないだろう」という意見が大勢を占めた。
町村会の山本康太郎会長(小竹町長)は西日本新聞の取材に対し「郡の会長であり、理事だからメンバーに入れないとしょうがない。田川郡の町村会で会長職をどうするかを協議してほしい」と話した。
一方、理事ではない町長は「批判が出るのは当然。山本・添田町長が委員会に出てくる前にメンバーから外すべきだ」と理事会を批判している。
山本町長は、福岡県後期高齢者医療広域連合設立に絡み、収賄罪で起訴された前県副知事中島孝之被告(68)=保釈=に100万円を渡したとして起訴された。
=2010/05/21付 西日本新聞朝刊=