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講談社、iPadで京極夏彦氏の新刊発売

2010年5月20日22時44分

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写真:新刊「死ねばいいのに」のiPad版電子書籍発売について話す作家の京極夏彦さん(左)=20日午後、東京都文京区の講談社、相場郁朗撮影新刊「死ねばいいのに」のiPad版電子書籍発売について話す作家の京極夏彦さん(左)=20日午後、東京都文京区の講談社、相場郁朗撮影

 講談社は20日、京極夏彦さんの新刊で15日に刊行された「死ねばいいのに」を、米アップルが28日に日本で発売する多機能携帯端末「iPad」やiPhone、携帯電話、パソコンで読める電子書籍として販売すると発表した。国内の大手出版社が、新刊の文芸書を電子書籍端末で売るのは初めて。他の出版社も続々と参入しそうで、その第1号になる。

 「死ねばいいのに」は紙の本は税別で1700円だが、携帯以外の電子版は販売開始から2週間がキャンペーン価格で700円、その後は900円とした。紙の本と比べて価格が安いのは、製本・印刷費、運送費、倉庫など管理費、取次会社や書店への報酬がいらないため。講談社内では議論があったが、社会的にインパクトを与えようと、紙の本の半額ほどに設定した。今後の電子書籍の値段に影響を与えるのは確実だ。

 iPadとiPhone版はアップル社のソフト配信サイト「アップストア」で売り、販売価格の30%がアップル社に入る。講談社は「iPad購入者の5人に1人に買ってもらうのが目標」という。28日から販売したい考えだが、現在はアップル社からの承認待ちの状態で、数日遅れる可能性もあるという。

 講談社の狙いの一つは、価格決定の主導権を日本の出版社が握ること。今後予想される米アマゾンの電子書籍端末「キンドル」日本語版の発売でも、出版社側が主導権を取りたい考えだ。さらに、自社で出版した作品の電子書籍化の許諾権を得るため、著作者への働きかけを強めることにしている。紙の本で著作者の取り分は10%ほどだが、電子書籍ではこれより高い率になりそうだ。

 国内の出版物の売り上げは約2兆円。講談社は、電子書籍の市場規模は5年後にその1割の2千億円ほどになると見込み、作品の投入を加速させる。いまのところ五木寛之さんの「親鸞」や京極さんの新作を考えているが、人気作家を中心としたラインアップになりそうだ。

 紙の本と電子書籍のすみ分けや相乗効果も狙っており、紙の本だけ、あるいは電子だけの発売や、それぞれに異なるプレミアムを付けることなどを考えている。紙の本で分冊の形にして安価で「ばら売り」することもあるという。「死ねばいいのに」は6話の連作ということで、携帯電話への販売では全6話のうち第1話は無料に、他の5話はそれぞれ税別で100円に設定した。

 国内では3月に発足した一般社団法人の日本電子書籍出版社協会(代表理事=野間省伸・講談社副社長)に31社が加盟しており、ほかに10社ほどが加盟を検討している。一方で、電子書籍の伸びが紙の本の売り上げを減らすのではないかという懸念も、書店業界を中心に広がっている。(西秀治、久保智祥)

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