【ＷＥＢ人・詳報版】「ヒャダイン」こと前山田健一さん（２９）　【プロの犯行】だったアレンジ曲投稿 (2/6ページ)

レールからの脱却

−−大学では？

「京都大学に進学して、アカペラ部に入ったんですよ。歌ってみようかなと思って。それまでは興味はなかったんですけど。うまいボーカリストを見つけたいという気持ち。歌えてもいいかなと。歌うのは難しいなと思いましたね。今まで鍵盤でやっていたのとは概念が違います。人間の声ですし、伝わる破壊力が違うなと思いました」

−−進路はどのように？

「大学４年生になって、単位は順調に取ってたんですが、友達が１人しかいなかったんですよ。彼も同じサークルの人で、作曲家になったんですけど。大学３年から就職活動があるってことを誰も教えてくれなかったんですよ。気付いたら４年生になっていた。それまでは、中学受験も成功して、大学も入って、人に敷かれたレールの上をトントンと行っていたんですが。大学３年生からスタートを切れなかった自分は、このままだったら今までのまっすぐな線路を歩けなくなる。それなら全部ぶっ壊してやりたいと思ったんです。まっすぐ進めないなら、ハンデを負うならやめちまえと思って」

−−それで音楽の道に？

「４年生のときに、週に１度、作曲講座に行ったんです。自分の作った曲を聴いてもらうという感じ。僕が曲を作り始めたのは、作曲講座に入ってからです。聞かせたら気に入っていただきまして、『あなた東京にいった方がよいわよ』といわれ、卒業後は有名な作詞家の方に弟子入りしました。彼が作った作詞に僕がメロディーをつけると。社会人として、クリエイターとしての心構えを学びました。『締め切りまでに１曲だけじゃなくて、できる限り曲を書く』とか『新聞を読め、すべてのことに関心を持て』とか」