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「お金ためて飲食店開く」夢かなわず 大阪女性遺棄事件(1/2ページ)

2010年5月16日20時44分

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 働くなら正社員。お金をためて飲食店を開きたい――。大阪府高槻市の淀川堤防で遺体で見つかった宇野津由子(つゆこ)さん(当時36)は、そんな夢を持っていた。友人の元派遣社員の女性2人が15日、朝日新聞の取材に応じた。「派遣切り」にあった2人は、同じ境遇の宇野さんからいろいろとアドバイスしてもらったという。宇野さんの部屋でこたつを囲んだ3人のおしゃべりは、つきなかった。

 2人は20代前半で、ともに沖縄出身。宇野さんとは長野県飯田市で、派遣の仕事を通じて知り合った。2人によると、宇野さんは長野や愛知県岡崎市の工場などを転々とした後に失職し、昨年1月から大阪府松原市の雇用促進住宅に入居した。2人も同じ頃、職を失った。困って宇野さんに電話をかけると「雇用促進住宅の入居を段取りしてあげる」と勧められ、2人は大阪へ向かった。

 宇野さんは金融機関で生活資金を借りる方法なども2人に教えてくれた。入居が決まるまで宇野さんの部屋で一時暮らした。入居が決まった後も、寒さをしのぐため、こたつを持っていた宇野さんの部屋でよく身を寄せ合った。「派遣切りされて心細いけど、こんな感じで3人で支え合っていけていいよね」と、語り明かした晩もある。

 宇野さんの出身地については聞いたことがない。だが、「早く自立したくて、就職して夜間高校に通ったが、中退した」。そんな境遇を淡々と話してくれた。子どもがいたとも聞いた。しかし、離婚や経済的な事情などから子どもとは離ればなれに。古い、小さなノートパソコンには子どもの画像が保存されていた。

 宇野さんは1人でカラオケボックスにこもるほど歌うのが好きだった。チェッカーズの「涙のリクエスト」や長渕剛の「とんぼ」を歌っては、高得点をたたき出した。「24時間でも歌える」と、笑顔を見せた。テレビは見なかったようだ。漫画や小説をよく読んでいた。

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