大阪府高槻市の淀川堤防で4月29日夕、宇野津由子(つゆこ)さん(当時36)=同府豊能(とよの)町=の遺体が見つかった事件で、宇野さんが事件直前、一時身を寄せていた大阪市内の実父宅前で、家の様子をうかがう不審な男が付近住民に目撃されていたことがわかった。大阪府警は、宇野さんが実父宅にいたのは、何らかのトラブルで身の危険を感じて豊能町から避難するためだったとみており、当時、宇野さんの居どころを捜そうとしていた人物がいなかったかなどを調べている。
捜査関係者によると、宇野さんは2月ごろ、大阪府松原市の雇用促進住宅から、養子縁組した豊能町の家族宅に転居した。だが、4月下旬ごろ、一時的に実の父親宅に身を寄せていた。
それと同じ時期に実父が住む文化住宅前の幅約2メートルの路地付近をうろつく不審な男を、近所の女性が目撃していた。男は30代くらいでつば付きの帽子をかぶっており、文化住宅の玄関付近を眺めるなどしていた後、走り去ったという。付近は複雑に入り組んでおり、その路地を付近住民以外の人が通ることはほとんどない。朝日新聞の取材に対し、女性は「きょろきょろして様子がおかしく、一度も見たことがない人なので不審に思った」と話した。
府警は、実父宅にいた時の宇野さんの様子などから、宇野さんは当時、何らかのトラブルに巻き込まれるのを恐れていたとみている。この時期に何者かが宇野さんを捜していた可能性があるとみて、この男の身元や宇野さんの足取りなどを調べている。宇野さんが死亡したのは4月28日ごろと推定され、首を絞められて殺害されたとみられている。