◆西武3−2ヤクルト
古巣のヤクルトを相手に意地を見せつけた。西武のベテラン石井一の完投劇が、片岡のサヨナラ打を呼び込んだ。史上9人目の12球団からの勝利を達成して、40回目の2ケタ奪三振は史上7位タイ。36歳左腕は「2点に抑えていけば何とかなると思っていた」と心地良い勝利の余韻に浸っていた。
責任を果たすために完投したかった。8回表終了時に渡辺監督から「9回はやめとくか?」と聞かれると「行きますよ」と即答。12球団目の記念の白星を古巣から奪い「移籍して今年が3年目、1つけじめをつけるために頑張った」と思わず笑みを浮かべた。
今季は雪辱に燃えていた。昨季は9勝9敗。自分の「立ち位置」は分かっている。渡辺監督が率いるチームには強い愛着も生まれた。そこには感謝もある。「ライオンズのために」という思いも常にある。結果が求められる今季、キーワードは「集中力」だった。
もう一度、原点に戻って鍛え直した。そんな石井一を刺激しているのは涌井と岸の両エースだ。「そう、彼らは僕の刺激になる。きょう負けたら勝ち星で離されるので絶対に勝ちたかった」。前回13日の巨人戦で3回途中6失点KOされた悔しさも晴らした。
08年5月6日以来、2年ぶりの完投勝ちでチームも両リーグ30勝一番乗り。「30勝ね。優勝旅行の過程で言えば荷造りしたとこかな」。マイペースの中に宿らせた石井一のプライドがさらにレオを勢いづけた。 (梶原昌弥)
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