大阪府高槻市の淀川堤防斜面で先月29日、宇野津由子(つゆこ)さん(当時36歳)=大阪府豊能町=の遺体が見つかった事件で、宇野さんが実父に「養父母から養子になることを強く迫られた」と漏らしていたことがわかった。養子になった直後、宇野さんには養父母を受取人とする多額の生命保険がかけられており、府警高槻署捜査本部は養子縁組の経緯について詳しく調べている。一方、捜査本部は宇野さんの遺体から検出したものと同じ成分を含む睡眠導入剤数十錠を、養父母宅から押収した。
関係者によると、宇野さんはインターネットで知り合った豊能町の養父母宅で同居することになり、今年2月ごろ、養子になったとされる。その後、計数千万円の保険をかけられていた。
宇野さんは養父母との同居について、実父に「住み込みの仕事」などと説明していた。しかし、養子になったことについては「養父母に強く迫られたから」などと、自らの意思ではなかったことを強調していたという。
また、近所の人は養母から、宇野さんについて「夫の妹。1人暮らしをさせてたけど、『何をしてもあかん』と言うから、こっちで引き取った」などと紹介されていた。
捜査本部は、養父母が宇野さんに養子縁組を迫る一方で、周囲に「妹」「昔からの知人」などと事実でないことを言い、養子縁組のことを隠していた可能性があるとみており、この経緯が事件と関連しているかどうかについても、慎重に捜査している。
一方、捜査本部が養父母宅から押収した睡眠導入剤は、同居していた宇野さんが処方を受けたものではなかった。捜査本部は、睡眠導入剤を所有していた経緯などについて、養父らから事情を聴いている。
毎日新聞 2010年5月14日 15時00分(最終更新 5月14日 15時00分)