大阪府高槻市の淀川堤防斜面で先月29日、遺体で見つかった宇野津由子(つゆこ)さん(当時36歳)は派遣切りで職を失い、今年初めまで大阪府松原市の雇用促進住宅で暮らしていた。「住み込みの仕事が見つかった」と大阪府豊能町に越したが、わずか数カ月後、遺体で発見された。事情があって子どもと離別し、派遣労働者として各地を渡り歩いていた。「お金をためて、いつかは子どもを引き取りたい」。知人に漏らしていた夢がかなうことはなくなった。
知人らによると、宇野さんは離婚後、福岡市のアパートで生まれたばかりの息子と2人で暮らしていた。しかし、家賃を滞納し部屋を飛び出した。その後、長野、愛知などを転々とし、部品製造工場などで派遣労働者として働いた。その間、息子は施設に預けた。
08年末、景気悪化で派遣労働者の解雇が相次ぎ、「年越し派遣村」が設置されるなどした。宇野さんも愛知県で「派遣切り」に遭い、09年1月、職探しの間、低家賃で住める松原市の雇用促進住宅に移り住んだ。4畳半と6畳の和室2間で家賃は約2万円。引っ越しの際、宇野さんは衣服が入ったかばん二つしか持っていなかった。
自治会長の男性(68)は「何も持っていなかったので、こたつや蛍光灯をあげた。その日の食べ物にも苦労している様子だった」と振り返る。
派遣先で知り合った女性2人が後から越してくると、宇野さんは「こたつもあるし、お金も節約できるので一緒に住もう」と提案し、部屋に招いた。このうちの1人で沖縄に住む女性(23)は「彼女はよく笑う明るい人だった。『いつかお金をためて子どもを引き取りたい』と言っていたのに……。事件に関与した人は許せない」と言葉を詰まらせた。
女性2人は実家に帰った。自治会長の男性によると、残った宇野さんは寂しそうだった。しかし今年に入って「住み込みの仕事で豊能町に行く」とうれしそうに報告してきたという。
それから約3カ月後、宇野さんは遺体で見つかった。15日、宇野さんは大阪市内で荼毘(だび)に付された。実父らが見送った。
毎日新聞 2010年5月16日 2時33分(最終更新 5月16日 2時33分)
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