大阪府高槻市の堤防で先月末、宇野津由子(つゆこ)さん(当時36歳)の遺体が見つかった事件は、宇野さんの養父(39)とみられる男性が自ら命を絶つという事態になった。宇野さんの遺体を遺棄した容疑者も特定できないままで、予想外の展開に関係者に衝撃が広がった。
遺体で発見された宇野さんは、今年2月に大阪府豊能町の夫婦と養子縁組した。派遣の仕事を転々とした宇野さんは、大阪府松原市の雇用促進住宅で生活していた時、インターネットでこの夫婦と知り合い、「住み込みで働く」と言って豊能町の夫婦宅に転居した。
養子縁組しただけでなく、宇野さんには養父母を受取人とする保険が掛けられていた。宇野さんは、亡くなる直前にいったん大阪市西成区の実家に戻った。行方不明になったが、実父は「友人のところに行ったのだと思っていた」と話し、遺体で発見されたことにショックを受けていた。
京都府警舞鶴署によると、養父とみられる男性はグレーのTシャツ、黒のジャージー姿で運転席に座った状態で遺体で発見された。後部座席の助手席側に七輪があり、車内は内側からガムテープで目張りされていた。
舞鶴署には大阪府警から養父の車が発見現場付近に来ている可能性があると連絡があった。舞鶴市消防本部によると、舞鶴署の通報で救急車を出動させたが、到着時、車内の男性は既に死亡していたという。
現場は、山と海に挟まれた農漁村地域の府道わき。車が10台前後止められる広場のような場所に止めた銀色の軽乗用車内で、遺体が発見された。付近住民によると、普段は地元住民や釣り客が利用するぐらいだという。
近くに住む農業、土井一男さん(75)は「午前5時前、救急車が来て、何が起こったのかと集落で騒ぎになった。午前6時過ぎ、警察が周辺道路を封鎖した。釣り客しか来ないような場所になぜ来たのかと驚いている」と話した。
現場は舞鶴若狭自動車道舞鶴西インターチェンジから一般道で約20キロ北上した場所。
毎日新聞 2010年5月18日 大阪夕刊