スマートフォン盗聴の可能性、大統領府が配布保留
知識経済部のチェ・ギョンファン長官がデモンストレーションで確認
通話中でなくとも周辺の対話を盗聴可能
韓国で200万台以上が普及、ハッキング防止対策に非常事態
今年4月5日、京畿道果川市の政府庁舎6階にある知識経済部大会議室。チェ・ギョンファン長官をはじめとする局長クラス以上の幹部全員と、情報通信関連の業務を担当する課長クラス以上の計50人余りが出席して、スマートフォン(パソコンの機能を備えた携帯電話)による盗聴のデモンストレーションが行われた。国家保安技術研究所(NSRI)から参加したあるセキュリティー専門家が、チェ長官にiPhone(アイフォン)を手渡し、自分のノートパソコンを取り出した。
この専門家はチェ長官に電子メールを送付し、チェ長官はiPhoneでメールを受け取った。このメールは平凡な文書だったが、チェ長官が知らないうちに、iPhoneに盗聴用プログラムがインストールされた。その後、チェ長官がこのiPhoneで別の局長と通話すると、その内容がそのままハッキングされ、この専門家のノートパソコンに転送された。
それだけではない。チェ長官が通話を終えた直後、iPhoneは待機モードに移行したが、その状態でも盗聴は続いた。チェ長官が2-3分ほど近くの人物と交わした対話が、ノートパソコンにそのまま転送されたのだ。待機モードのiPhoneが、チェ長官など会議室内の対話内容を盗聴するマイクの役割を果たしたというわけだ。ある出席者は、「ノートパソコンがなくても、別のiPhoneやスマートフォンで盗聴が可能とのことだ。この話をセキュリティー専門家から聞いたときはびっくりした」と述べた。
韓国ではスマートフォンが200万台以上普及しているが、これらは簡単に盗聴できるという事実が今回、政府によって公式に証明された。パソコンを基盤とするスマートフォンが、「ハッキングにぜい弱」との指摘は以前からあった。しかしハッキングだけでなく、盗聴も可能だということが確認されたのは今回が初めてだ。
スマートフォンによる盗聴の問題は、知識経済部でデモンストレーションが行われた翌日の4月6日、李明博(イ・ミョンバク)大統領主宰で開かれた国務会議(日本の閣議に相当)でも議論された。この席である閣僚が、スマートフォンやツイッター(簡易投稿サイト)などのメディアを活用した政策広報活性化策について提案した。しかしチェ長官が、「スマートフォンはハッキングや盗聴に弱い」としてこれに異議を唱えたことから、李大統領は「大きな責任を担う政府(関係者)が使用するにはリスクが大きいため、スマートフォンの使用には慎重な態度で臨むように」と指示したという。この直後、大統領府はスマートフォンの配布計画を白紙化した。
今回の知識経済部によるデモンストレーションではiPhoneが対象となったが、オムニアフォンやアンドロイドフォンなど、韓国に流通するそれ以外のスマートフォンも同様にハッキングや盗聴が可能、というのが専門家の一致した見解だ。またノートパソコンについても、韓国のセキュリティー業者が実験を行ったところ、ハッキングによる盗聴が可能だということが確認された。
趙享来(チョ・ヒョンレ)記者
李性勲(イ・ソンフン)記者
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