哨戒艦「天安」沈没事故についての調査結果の発表を前に、野党も「北朝鮮の犯行」ということをこれ以上否定できない状況だ。だが、「調査の過程が透明ではないため、結果を100％信頼することはできず、特に発表日を選挙運動の初日にしたことや、野党を追い詰めたことは、与党側が国家の安全保障の問題を選挙に利用しようという意図によるものだ」と反発している。統一地方選は伝統的に、「現政権に対する審判」という性格が強かったが、北朝鮮絡みの問題が浮上したことにより、保守派が結集して支持を集め、「審判」が不十分になるのではないか、と野党は懸念している様子だ。

　民主党の丁世均（チョン・セギュン）代表は19日、中央選挙対策委員会の会議で、「ベールに包まれた中で調査した、『天安』沈没事故の真相を、一方的に発表するというのは、政治的な意図が背景にある。来月2日の統一地方選挙に合わせて発表するのは適切ではない、とこれまで指摘してきたにもかかわらず、この時期に発表するというのは、（北朝鮮問題を）選挙に利用しようという露骨な態度だ」と主張した。丁代表はまた、北朝鮮による魚雷攻撃を示す証拠が確保されたという報道に言及し、「『天安』沈没事故が（北朝鮮の攻撃に対し）安全保障上の欠陥を示したものだとすれば、大統領が国民や遺族に謝罪しなければならない」と述べた。

　鄭東泳（チョン・ドンヨン）共同選対委員長も、「北朝鮮の犯行だと推定するならば、これは（韓国政府の）北朝鮮敵視政策に対抗する（北朝鮮の）報復感情の表れだ」とし、政府に批判の矛先を向けた。

　また、朴智元（パク・チウォン）院内代表は議員総会の席上、「民主党（の議員）は誰も、北朝鮮の犯行を否定したことも、認めたこともない。（沈没事故の真相について）科学的に立証しなければならない政府が、調査結果について最大野党に何ら通告しないまま、『民主党が北朝鮮の犯行を否定した』と決めつけていることに対し怒りを覚える」と述べた。なお、朴院内代表は事故発生当初、「北朝鮮の犯行である可能性は極めて低い」と主張していた。

　今月11日、「『天安』の沈没事故は、爆発によるものだとは思えない」「魚雷説、機雷説、（魚雷や機雷が水中で爆発する際に発生する）バブルジェット現象などは、憶測か作り話だ」と主張した、国民参与党の柳時敏（ユ・シミン）京畿道知事候補もこの日、ラジオ局とのインタビューで、「わたしは『北朝鮮の魚雷攻撃による沈没ではない』と言ったのではなく、『政府が十分な根拠を示していない』と指摘した。そういう話（北朝鮮の犯行を否定）をした悪い人物だ、と決めつけるのは、言論の自由に対する弾圧だ」と主張した。

鄭始幸（チョン・シヘン）記者

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没