【社説】国論をまとめ、安保の非常事態を乗り越えよう

 韓国軍哨戒艦「天安」沈没をめぐる合同調査団がこのほど、「天安」の沈没した西海(黄海)の海底から魚雷のスクリュー(推進装置)を発見した。民間・軍合同の調査団は、「天安」の沈没が北朝鮮の魚雷攻撃によるものならば、スクリューの残骸(ざんがい)が海底に残っている可能性が高いとみて、このスクリューの発見に全力を傾けた。魚雷の推進機構であるスクリューは、魚雷が爆発した瞬間にはね飛ばされる場合が多いためだ。民間・軍合同調査団はこのスクリューに刻まれていたシリアルナンバーを政府が保有している北朝鮮の訓練用魚雷と比較、分析した結果、番号の字体と番号を刻んだ方式が北朝鮮の魚雷と同じとの結論を下したという。また、「天安」の煙突付近で検出された火薬成分も、北朝鮮製の魚雷の成分と類似していることが分かった。犯罪捜査に例えれば、発見した犯行道具に残された北朝鮮の指紋を確認したようなものだ。

 政府はきょう、このような調査結果を公式に発表する。大韓民国はこの発表に基づいて国家的次元の重要な決断を下さなければならない。北朝鮮が魚雷で韓国の軍艦を真っ二つにし、将兵46人の命を奪ったことは、事実上大韓民国に宣戦を布告したものだ。このような挑発行為にしっかりと対応しなければ、後により深刻な挑発行為を招く恐れもある。

 政府はこれまで、「『天安』の沈没原因が明らかになれば断固とした措置を取る」と話してきた。きょうは政府がその第一歩を踏み出す日だ。北朝鮮に対する政府の措置は、北朝鮮に「天安」爆沈に見合う対価を支払わせる実質的な内容を持ち、北朝鮮が二度とこうした挑発を行わないようくぎを刺すものでなければならない。そのためには米国や中国など韓半島(朝鮮半島)周辺の大国はもちろん、国際社会全体との緊密な協調が必要だ。北朝鮮はすでに、「天安」の調査結果発表を前に不穏な兆しを見せている。

 韓国が現在直面する安全保障上の非常事態を打開するためには、何よりも国論を一つにまとめることが重要だ。そうすることで、国民が対北制裁を推進する過程で発生する多少の費用と対価を受け入れることができる。大統領と与野党はこの重要な時局に党派の利益を超えて国の中心を固めなければならない。民主主義の弱点は、党派の利益が鋭く対立する選挙の時期と国家的非常事態が重なった時に極端に露呈するものだ。きょうは、6月2日に行われる統一地方選挙の選挙運動が公式に始まる日でもある。

 大統領は現在の状況を直視し、安保問題をめぐる政争が起こらないようにまず模範を見せるべきだ。野党も安保問題で執権10年間の経験を示せば、より多くの国民から支持を得られるだろう。大統領と与野党の代表ができるだけ早く会い、大韓民国が現在の安保状況を打開できるようじっくりと議論すべきだ。

【ニュース特集】哨戒艦「天安」沈没

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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