大邱国際陸上:韓国代表、世界との差歴然

 大邱国際陸上競技大会が開幕した大邱スタジアム。午後8時50分ごろ、「世界一速い男」が100メートルの第5レーンに立った。すると、雷鳴のような拍手喝采がスタジアムに沸き起こった。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)の姿を目の前で見られることだけでも、感激するという観客は少なくない。友達と一緒に大会を見に来たイ・ジヨンさん(21)は、「目の前でボルトを見られるなんて…。すごくワクワクする」と興奮した様子だった。100メートル9秒台という世界トップクラスの選手マイク・ロジャース(米国)らもボルトの隣に堂々と並んでいる。

 彼らと一緒に並んだ韓国のスプリンター、ヨ・ホスア、イム・ヒナム、キム・グギョンの3人も、観客席に向かって手を振った。すると、観客は歓喜した。ボルトと同じ100メートルのトラックに立った韓国人選手たちを誇らしく思っているのだ。

 だが、それもここまでだった。ボルトが文字通り弾丸のごとく1位でゴールした時、韓国のトップスプリンターたちははるか後ろを走っていた。ヨ・ホスア7位(10秒48)、イム・ヒナム8位、キム・グギョン9位。9位は出場選手のうち最下位だ。キム・グギョンとボルトの記録差は0.88秒だった。

 韓国人選手とボルトとの直接対決は、もしかすると、もう二度とない「夢」かもしれない。この日は大会開催国の選手ということで世界的なアスリートたちと一緒の舞台に立つことができたが、来年8月に開幕する世界陸上選手権大会ではトラックに立つ資格さえ得られない可能性がある。予選を通過できなければ、ボルトのそばに立つことはできない。これが韓国陸上界の現実だ。

 この日、韓国短距離界の期待の星、イ・ソネは現役最高の女子スプリンターであるカルメリタ・ジーター(米国)、北京五輪女子200メートル金メダリストのベロニカ・キャンベル=ブラウン(ジャマイカ)と共に、100メートルを競ったが、7位にとどまった。女子棒高跳びで韓国内のライバルであるチェ・ユンヒ(4メートル20)とイム・ウンジ(4メートル)も、この日優勝したユリア・ゴルブチコワ(4メートル65)=ロシア=と技を競ったが、その差はとてつもなく開いていた。

 観客席で競技を見守っていたソ・ユジンさん(23)は、「来年の決勝戦でも韓国人選手が見られたらいいのだが。外国人選手ばかりになるのでは、と今から心配」と話した。その夢は果たしてかなうのだろうか。この日は韓国陸上界にとって大きな意味があったと同時に、気が重くなる一日でもあった。

大邱=ハン・スヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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