ミサイル防衛:SM3の命中率は低い!?
「事実上、役に立たない」 米科学者らが報告書
国防総省、「事実の歪曲」と反論
米国のミサイル防衛(MD)で用いられる海上配備型迎撃ミサイル(SM3)の弾頭命中率は10-20%と極めて低く、事実上、敵の核ミサイル迎撃には役に立たない-。米国の科学者らが最近、こうした内容を含む研究報告書を発表した。これは、SM3の命中率を84%とする米国防総省の公式発表とは大きく異なるもので、波紋を呼ぶものとみられる。
米マサチューセッツ工科大(MIT)のセオドア・ポストル教授とコーネル大のジョージ・ルイス先任研究院は、軍縮専門誌「アームズコントロール・トゥデイ」最新号(5月)に発表した研究報告書で、「米国防総省が“命中した”と発表した過去10件のSM3迎撃実験の資料を分析した結果、実際にミサイルの弾頭に正確に命中したケースは1-2件に過ぎなかった」と主張した。残りの迎撃ミサイルは、最も小さなミサイルの弾頭ではなく、胴体に命中したもので、事実上の失敗だ指摘した。
ミサイルの弾頭を正確に迎撃した場合、上空で爆破され消滅するが、胴体に命中すると、ミサイルが当初の軌道を外れ、不特定の場所に落下する。このミサイルに、破壊力の弱い通常型の弾頭が積まれていても、大きな問題にはならないが、核弾頭が搭載されていた場合、ミサイルが墜落した地域では、核爆発による大規模な人命の損失が生じかねない。
MD迎撃ミサイルの開発については、「飛行中の弾頭に銃弾を命中させる」という難しい技術が必要なため、不可能な目標だという批判を受けてきた。しかし米国防総省は今年4月、イージス艦から発射したSM3ミサイルが、数度にわたる迎撃実験で80%以上の命中率を示した、と発表した。
大統領候補時代にMD計画を批判していたバラク・オバマ大統領も昨年9月、SM3を主軸とする新たなMD計画を発表した。さらに、米国の海軍と日本の海上自衛隊はSM3をMDの主力兵器として採択したほか、イスラエルもこの迎撃ミサイルの購入を進めているといわれている。
米国防総省は、ポストル教授の研究チームが発表した分析報告書に直ちに反論した。パトリック・オライリー・ミサイル防衛局長は、ニューヨーク・タイムズの紙面で、「ポストル教授の分析は誤っており、不正確で、事実を歪曲(わいきょく)している」と語った。しかし、過去10件の実験で迎撃ミサイルが正確に弾頭に命中したかどうかについては、明らかにしていない。また、迎撃実験に用いられた仮想の敵ミサイル10基のうち4基は、模型の弾頭すら搭載していなかったことが分かった。
米議会下院のジョン・ティアニー国家安全保障小委委員長は、「この問題に関して、議会レベルでの真相究明調査を検討したい」と語った。
金旻九(キム・ミング)記者
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