【社説】国民1000人を開城工団に滞在させ続けて良いのか

 統一部は17日、「企画財政部や保健福祉部、山林庁など10以上の部処(省庁)に対し、今月14日、北朝鮮向け事業の予算執行を保留するよう要請した」と発表した。統一部は今月11-12日にも、北朝鮮で砂や水の採取事業を行っている韓国企業に対し、追加の採取や新規の契約をしばらく保留するよう勧告し、これに伴い、関連企業の担当者らは最近、北朝鮮から帰国した。哨戒艦「天安」沈没に対する民間と軍の合同調査団がこれまでの調査結果を発表した直後から、政府は複数の制裁措置を実行に移す方針だという。

 このように、政府は数々の行動を起こしてはいるが、開城工業団地については一言もコメントしていない。現在、開城工団には大韓民国の国民1000人が勤務している。開城工団の現状維持を続ける理由について政府は、「南北関係で開城工団が持つ象徴的な意味合いが非常に大きく、一時的ではあっても、韓国側の関係者をすべて撤収させてしまうと、“韓国側が先に南北関係をこじらせた”という非難の口実を与えかねないからだ」と説明している。開城工団では、北朝鮮労働者4万2000人以上が生活し、また勤務しており、北朝鮮は工団を通じて年間4000万ドル(約37億円)以上の外貨を稼ぎ出している。北朝鮮の経済規模からすると、この額は決して小さくはない。そのため北朝鮮も、簡単には開城工団に手をつけることができないとみられる。

 しかし、北朝鮮最高人民会議常任委員会の楊亨燮(ヤン・ヒョンソプ)副委員長は17日、「傀儡(かいらい)軍の艦船(天安)沈没事件を共和国(北朝鮮)と無理に関連づけ、極端な対立情勢を作り上げようとしている。南朝鮮(韓国)傀儡の輩(やから)による対決と戦争策動は絶対に座視しない」と発言した。朝鮮人民軍も16日に韓国側に通知文を送り、「南側が引き続きビラを飛ばす行為を行うのであれば、わが軍は南側関係者の陸路による通行を制限、あるいは遮断するか、それ以上の実質的な措置を下すだろう」と伝えてきた。韓国側では、複数の民間団体が19日にもペンニョン島から50万枚以上のビラを北朝鮮に向け飛ばす予定だ。そのため、開城工団で働く1000人余りの韓国人について、身元の安全が懸念される状況にある。

 政府が北朝鮮に対する制裁を本格化させれば、南北関係の緊張と対立が今後どこまで進むか、誰も予想できない。昨年11月には、北朝鮮の警備艇が西海(黄海)北方限界線(NLL)を越えて先制攻撃を加えてきたが、逆に敗退したことから報復を決意し、3月26日に韓国の1200トン級哨戒艦「天安」が北朝鮮の魚雷によって沈没した。われわれは北朝鮮による脅迫が口だけでなく、その暴言はいつでも行動に移され得るという事実を目の当たりにした。狂ったような行動を取り、相手に恐怖心を抱かせるという、これも一種の戦略だ。政府は北朝鮮の恐喝、脅迫を聞き流すのではなく、あらゆる可能性に備えると同時に、もし実際に事が起これば直ちに対応できるようにしておかねばならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る