【社説】中国は西海を「韓米VS中朝」対決の場にする気か
哨戒艦「天安」の沈没原因を調査している民間と軍の合同調査団は、北朝鮮による魚雷攻撃を裏付ける決定的な証拠となる魚雷のスクリューの破片などを発見した。韓国政府の関係者は、「このたび回収した破片と7年前に西海(黄海)で回収した北朝鮮の魚雷の材質を比較し、船体などから検出された火薬成分の調査もすでに完了した」と説明した。合同調査団は20日に最終調査結果を発表する際、天安沈没が北朝鮮による犯行だと結論付け、これを証明する証拠資料を提示する方針だ。
次なる問題は、最終調査結果を基に、北朝鮮に対して効果的な制裁を行う国際協力の仕組みをいかに構築するか、という点だ。米国のオバマ大統領は18日に行われた李明博(イ・ミョンバク)大統領との電話会談で、「韓国政府の対応や国際調査団の活動、また調査結果などを全面的に信頼し、支持する。クリントン国務長官を近く韓国に派遣し、今後の対応措置について集中的に話し合いたい」と述べた。このような韓米の緊密な協力体制は、現時点で検討されている国連の追加制裁、韓米合同訓練の強化、北朝鮮船舶に対する強制臨検、北朝鮮の海外口座凍結などが実際に実行されるに当たって、大きな力となるだろう。
ただし、変数もある。それは、北朝鮮の後見国といえる中国の動向だ。北朝鮮に対する制裁が違法行為をけん制する効果を導き出すには、中国の協力が何としてでも必要となる。しかし中国は一向に、北朝鮮を擁護する態度を変えようとしない。中国の梁光烈国防相は韓国軍OBらと会談した席で、「(韓国は)判断を誤ってはならない」と警告した。また、張シン森駐韓中国大使も、二日前に民主党を訪問し、「北朝鮮は今回の事故について、自分たちとは関係ないと主張している。主観的な予測や即断は行うべきでない」と発言した。張大使が執権政党ではなく、北朝鮮への制裁に消極的な民主党を先に訪問したのは、外交的な慣例から外れた行動だ。
2008年の韓中首脳会談で、中国は韓国との関係を「戦略的協力同伴者関係」に格上げすると表明した。ところが天安沈没後は一貫して、「科学的かつ客観的な調査が重要」という言葉を繰り返している。もし中国の艦船がどこかの海で何者かに攻撃され、「戦略的同伴者」とされる国が「科学的・客観的」などといった言葉を並べつつ犯人を擁護したならば、中国はこれをどのように受け入れるだろうか。
韓国と米国は、中国が引き続き後ろ向きな姿勢を取り続けるのであれば、やむを得ず中国を除いてでも、海軍力と訓練の強化を推進するしかない。そうなれば、「平和の海」だった西海は、「緊張の海」「対立の海」へと変わっていくだろう。西海に「韓米VS中朝」という対決の構図を作り上げることで、中国は何か得るモノがあるのか、深く考えてほしい。
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