|
|
|
|
│<< 前へ │次へ >> │一覧 |
コストナー選手はキム選手のあとに滑りましたが、点数が異常な銀河点だったことはわかったハズです。Mizumizuは、コストナー選手のあのヤル気のなさは、むしろ間接的な抗議表明じゃなかったかと思います。いくら前の点見てショックでモチベーションがなくなったからって、いきなりあんなに跳べなくなるものでしょうか。つまり、彼女は跳べなかったのではなく、跳ばなかったのではないかと。
キム選手とコストナー選手は、昨シーズンからいろいろあります(苦笑)。昨シーズンの世界選手権では、某韓国紙はこんなこと書いてます。↓ http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=97733&servcode=600§code=600 笑うでしょう? この記者は「私はドイツ人だが、この採点はひどすぎる。 コストナーと金妍兒の点差がこれだけしかないとは、審判は恥じるべきだ。 裁量で付けられる芸術点数でいたずらをしている」と声を荒げた。 出た! いきなり「私はドイツ人」だとわざわざことわる謎の名無しのドイツ人記者! しかも「審判は恥じるべきだ」とまで周囲に言ったそうです。ふつうありえないことだと思いますけどねぇ。 コストナー選手の芸術点(つまり演技・構成点)が高くて、キム選手のが低いと言いたいんですね。キム陣営は一貫して、「キム選手の点は低すぎる」と言いつづけて来ました。今回ぐらいの銀河点じゃないと、次元の違うスケーターであるキム選手は満足しないんでしょう。なにせ、あのショートの点数、男子の演技・構成点に換算しなおすと、84.3点でなんとなんと1位のジュベール(84.4点)についで2位に入っちゃうんですよ! チャンの82.7点より高くなります。4回転もトリプルアクセルもいりません。演技・構成点の完成度を高めるだけで、キム選手なら男子に勝てちゃう! で、話を戻すと、昨季のファイナルは逆に「コストナーはサゲられた」とヨーロッパファンは思ってたんですね。結構コストナーとキム選手はインネンあるんです。1つにはこの2人のスケーティングの特長が似てるってことがあります。 2人とも非常に1つ1つのストロークがのびます。ストロークののびだったら、女子の中で1、2を争うと思います。ストロークがのびるというのは、一生懸命「漕がなくても」、スピードが出せるということなんですね。だからあの2人の3F+3Tはタイプがとても似ています。助走のスピードがすごい。その勢いで大きな3Fを跳び、次の3Tは今度は高く跳んで回る。 キム選手と比較した場合、浅田選手はストロークののびでは勝てません。この差が実はスパイラルのレベル取りと加点の差になってると思います。浅田選手はスパイラルでときどきレベル取りに失敗します。早く脚をおろしてしまうんですね。ストロークがのびるキム選手は、スピードを落とさず片足で滑っていけるので、レベル取りに失敗することなく、安定した片足のポーズを維持することができます。 浅田選手のスパイラルは美しさだったら世界一です。でもレベルと加点は、人が一般的に感じる美しさとは別のところで出されるんですね。これはレイバックスピンにも言えます。ビールマンポジションでは、柔軟性に優れた浅田選手のほうが圧倒的にきれいだと思います。スピンは昨季はキム選手のほうがいつも勝ってましたが、今季はむしろ浅田選手のほうが点が高くなった。ところが唯一、圧倒的に美しいビールマンをもつ浅田選手のレイバックだけは、キム選手にレベルで負けてるんです。人が感じる「美しさ」とレベル取りと加点が違うこと――これが、ビアンケッティさん、そしてランビエールも同じことを言っているのですが、「フィギュアから芸術が失われていく」一因になっています。 昨季、浅田選手のフリーのスピンがいつもキム選手に負けていたのは、浅田選手が自身の美しさを引き立てるビールマンスピンにこだわったせいなんです。今年はフリーからビールマンポジションをはずし、ディフィカルトポジションのバリエーションでレベル4を取るように構成を変えてきました。そしたら、あっという間にキム選手以上になってしまった。年が明けてから、そして最後の世界選手権ではスピンのレベルを落としましたが、まあ、世界選手権はもう3Aが2度決まらなかったので、がっくりきたのもあるでしょうし、無理にレベル取りしなくても身体のことを考えたら、あれでよかったと思います。不自然な形に身体をひねるので、現行ルールのものでは、スピンも怪我の原因になってます。ただ、キム陣営は、昨季勝っていたスピンで、下手したら負けるという事実にあせったと思います。そのかわり、キム選手はステップを強化して、浅田選手に並んでいます。 ステップで下手したらキム選手のが点数が上というのも奇妙に聞えるかもしれませんが、これも結局エレメンツの要件を満たしたら、そうなるという話なんですね。美しさとレベルとは直接関連がないんです。フィギュアを芸術と考えるランビエールはこれを強く批判しています。つまり、フィギュアのフリーは元来、その選手がもっている強み(美しさ、個性)で勝負すべきものだと。今のフリーはエレメンツの要件を満たすために(つまりはレベル取りをするために)、さまざまなことをやらなければならず、選手の個性で勝負することができなくなっている。 確かにもっともです。ランビエールのように難しいポジションで美しくスピンを回れる選手はいくらでもやったらいいですが、レベル取りのためにみんな無理に身体ひねったり、ポジションかえたりするものだから、美しくなくなりました。だんだんみんな同じことをするようになる。 たとえば、荒川選手は「旧採点システムのときは、スピンは私にとって休む場所だった。ところがルールがかわって、いろいろなことをしなければいけなくなって… スピンのときのチェンジエッジなんて昔はしちゃいけないって言われてたから(←仏頂面)」。 Mizumizuとしては、その「休む場所」だったという荒川選手の世界女王時のゆったりとたレイバックスピンが一番美しかったと思いますね。まさに花が咲くよう。太田選手の「ミラクルスピン」も旧採点システムのときのが圧倒的にきれいです。 荒川選手の凄いところは、ルールが変わってもすぐに対応してレベル4を並べるようになったことです。一方で村主選手はなかなか対応ができず、オリンピックではレベルが取れませんでした。これはつまり、2人の身体能力の差、もっといえば、ポジション取りをするための柔軟性を荒川選手が備えていたということです。 だんだん「同じことをするようになる」という意味で、よい例が今回の世界選手権のフリーの安藤選手とキム選手のストレートラインステップじゃないでしょうか。カーブの描き方、スピードのメリハリのつけ方、それにともなう上体と腕の動き、ターンのバランス… なんか似てきちゃいました(苦笑)。肩に問題のある安藤選手が腕の表現をするのは大変だと思いますが、ちゃんとステップのレベルは3が取れて、加点もそこそこもらってます。 レベル取りを考えると結局みな、同じようなことをするようになるんですね。そうした要求事項をこなすのにいっぱいいっぱいになって、1人1人の個性を生かした芸術性が消えていく。たとえば、ライザチェックはシーズン初めはかなり密度の濃い、難しいプログラムにしてました。でも、それだと今の採点だと点がでない。逆に減点ポイントが増えちゃうんでしょうね。なんでかなりプログラムをスカスカにして、エレメンツの条件を満たすことに注力したら、点がのびてきました。すぐに対応させた彼も素晴らしいですが… これを見ると、プログラムの密度を薄くしてエレメンツのレベル取りに徹するのは、案外トップ選手ならすぐにできるみたいですね。安藤選手もですが。もちろん、「世界のトップ選手」だけです。 でも、プログラムは密度が薄くなり、おもしろくはなくなりましたね。よくキム選手の演技について、「いつも同じように見える」「つまらない」とメールをくださる方がいます。それが皆ほとんど共通して、バレエが好きな目の肥えた人に多いというのも興味深いことなんですが、なんとなくわかります。つまり今のシステムで点を出そうとすると、どうしてもああいった演技になるんですね。ところがファンは、個性的な美しい振付を見たいと思っている。フィギュアの演技自体が全体的に「つまらなくなった」と言う人も多い。どちらも同じ背景があります。あれこれ詰め込んだエレメンツのレベル取りのための要件を満たすための演技になってしまうんですね。 ランビエールは怪我は状態がよくなったみたいですが、一部で囁かれている現役復帰はないとしています。やはりレベル取りのための要求条項が多すぎて、芸術性の高いプログラムをもはや作れないことが一番の理由。ビアンケッティさんの言ってることも同じです。この要求条項自体は、もともとはそれを満たせるかどうかでフィギュアのスキルを客観的に判断しようと導入したものなんですね。それはそれで一理あったんですが、結局「人間の身体はそれほどまでに多くのことをこなせるようにはできていない」とビアンケッティさんも言うように、詰め込んだ条件が、フィギュアから芸術を奪い、さらには最近顕著なように、ジャンプの技術を劣化させ、ファン離れを招きました。 フィギュアを芸術としてとらえてきたヨーロッパでもファン離れは深刻のようです。採点システムは複雑で、出てきた点はわけわからない。コストナー選手はヨーロッパ選手の中では3+3も跳ぶ力があり(あった、というべきか… もはや3+3よりイケメンのほうがいいのかもしれませんね。ランビエールにもう一度脚もませれば、跳べるようになるかな?)、ルックスもよく、滑りもきれいなので、なんとかアゲてファン離れを防ぎたいんでしょうね。今年のなりふりかまわないコストナーあげもある意味凄いです。 昨季のコストナー選手は技術点61.88点、演技・構成点58.52点でした。1年で技術点が30.94点も下がったのに、演技・構成点は58.48点と昨季と変わらない。 ここまでやられると、ジャッジは頭悪いのか、と思っちゃいますよね? ファンはプロトコルを見ないと思っているんでしょうか。プロトコルを分析すればするほど、暴走する特定選手への爆アゲがバレてしまうのに。これがオリンピックについでフィギュア・スケートではもっとも格式の高い大会である世界選手権の先鋭ジャッジのやることですか。 オリンピックを睨んで、メダル獲らせたい選手が「強い」というイメージを作るために、もはやなりふりかまってない感じですよね。 オリンピックでこの「演技・構成点」マジックをどう使うか? まず選手としては、ミスはダメです。ミスしないためには、メダル候補の選手は、ジャンプ構成を落とし、きれいに滑ります。そして、ジャンプのたびに地元の大声援。 キム選手の2Aに大拍手を送ってましたよね、ロスでの韓国系のファン。ロシェットVSキム選手の応援合戦でしょう。 カナダの思惑としては、ロシェット爆アゲで金ということでしょう。今はキム選手が強いですが、いざとなれば、カナダはロシェット選手に金を獲らせたい。 実際、ロシェット選手は非常に努力して、すべてのエレメンツを磨いてきています。あのシェイプされた筋肉質な身体を見れば、どれだけ努力してるかわかりますよね。 「キム選手にロシェット選手は勝てないんじゃ」と思いますか? それがそうでもない、ですよ。 だって、浅田選手がロシェット選手に負けると皆さん、思ってました? ロシェット選手は、本当に強いんです。それは跳べるジャンプの数で比較してもわかります。跳べるジャンプのバランスで言ったら、キム選手、浅田選手に勝っています。 <続く> この記事のトラックバックURL:
http://tb.plaza.rakuten.co.jp/mizumizu4329/diary/200904030000/9135f/ ■トラックバック(1)
もうジャッジは信頼できないからオリンピックは選手一人一人の演技を楽しみたいです。私は音楽は正直詳しくありません。フィギュアファンになってから知った曲が殆どです。だからクラシック調の曲難しい曲よりも盛り上がれるストーリーのあるようなもしくは映画音楽の曲が...(2009年04月03日 21時36分51秒)
│<< 前へ │次へ >> │一覧 │ 一番上に戻る │ |