感染拡大をこれで食い止められるのか――。宮崎県内で発生した家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)問題で、政府は19日、発生地域の半径10キロメートル以内の牛・豚の全頭殺処分を決めた。埋却地や人手の不足に直面する地元畜産農家からは「短期間にできるのか」との疑問の声や、「ワクチン接種について現場に説明がない」といらだちの声が相次いだ。
殺処分された牛の埋却作業に携わる川南町役場の男性職員は「全頭処分になれば、作業はいつ終わるとも想像さえつかない」と漏らす。1日7~8時間の作業で1カ所あたり牛300頭程度の埋却が限界という。
農林水産省によると、殺処分は通常、家畜一頭一頭に薬物を注射し、地中の穴に入れ、土と消毒用の消石灰で埋却する。
19日時点で殺処分対象の牛や豚は約12万5千頭だが、処分完了はその半数程度。今後約20万頭が増えるとみられる。
埋却には家畜2千頭あたりで約1万平方メートルの土地が必要とされる。今後、国と宮崎県は国有林や県立農業大学校の土地を提供する考えだ。
地元への説明不足への不満もある。JA尾鈴(宮崎県川南町)養豚部会長の遠藤威宣さんは「半径10キロ内という境界は何が根拠か、納得できる説明が地元まで伝わってこない。この範囲で本当に抑えられるか不安だ」といらだちを隠さない。
殺処分前のワクチン使用を警戒する声もある。川南町の畜産農家の男性(61)は、「ワクチンを使えば、日本は口蹄疫のまん延国とみなされ、国際的な評価が下がってしまう」と危惧する。JA宮崎中央会の羽田正治会長も「まずは、現状の埋却処分の加速を優先してほしい」と訴える。
一方、川南町で約6千頭の豚を育てる男性(33)は「ゴールの見えないマラソンのようだった。全頭処分にほっとした部分もある」と政府の方針に一定の理解を示した。
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