沖縄は15日、本土復帰から38年の節目を刻んだが、今年は例年に増して米軍基地問題の喧噪(けんそう)の中で迎えた。過重な基地負担の解消を訴える沖縄と、抜本的な解決策を見いだせない政府の対立構造は変わらない。だが歴史的な政権交代を経て迎えた今年の県民世論は、普天間飛行場の県内移設への強いいらだちと、従来は表立って訴えることは少なかった、本土から「差別されている」という感情が底流に渦巻いているように見える。
「戦争の痕跡はなくなったが、基地は厳然と、ほとんど変わることなく座っている。これは日本全国で見れば不公平、差別に近い印象すら受ける」
4月25日の県民大会で仲井真弘多知事の言葉だ。直前まで出席に逡巡(しゅんじゅん)していた知事が、いつもと違う力強い口調の中に込めた「差別」の二文字が関係者の注目を引いた。
昨年の衆院選で「最低でも県外」と繰り返した鳩山由紀夫代表率いる民主党が政権を奪取。沖縄は移設先の変更を歴史的な政権交代の象徴ととらえていた。懐疑的だった人も含め、問題の行方に大きな関心を寄せていたのは間違いない。
だが鳩山首相は県外移設を断念し、名護市辺野古への移設に回帰する考えを示唆。その理由として自民党政権時代と同様の説得力に乏しい海兵隊の「抑止力」を挙げたことが、「政治主導」や「脱官僚依存」を掲げた政権に対する失望と怒りを増幅させている。
首相との会談を終えた稲嶺進名護市長も「これ以上新しい基地を持ってくるのは沖縄に対する差別ではないか」と言及している。
基地問題での県民の鬱積(うっせき)した思いを「マグマ」と例えたのは稲嶺恵一前知事だった。「本土に受け入れ先がない」と閣僚が繰り返す一方、県議会全会派が県外・国外移設を求めた沖縄に負担を強いる「二重基準」という構造的な差別に、マグマは向き始めている。
(与那嶺明彦)
次の記事:生まれ島に本格芸能 粟国で新...>> 今日の記事一覧
今月の記事一覧
最近の人気記事
Photo History
琉球新報掲載写真でつづるオキナワの歴史
しんぽう囲碁サロン
世界中の囲碁ファン会員と対局
ライブカメラ
琉球新報泉崎ビルに設置したライブカメラ
りゅうちゃん商店
ウェブサイトからも購入可能に!
ちょBit
新報パーソナルアド
ウイークリー1
沖縄県内・県外就職・求人情報ニュースサイト
琉球新報の本
琉球新報の本がネットでも購入できます
週刊レキオ
生活情報満載の副読紙。毎週木曜お届け
新報カルチャーセンター
130講座 学ぶ楽しさがいっぱい
新報ローカルブログ
ミニコミ紙連動のローカル情報
〒900-8525 沖縄県那覇市天久905
紙面・記事へのお問い合わせは、読者相談室までどうぞ。
電話098(865)5656 (土日祝日をのぞく平日午前10時〜午後4時)
©The Ryukyu Shimpo
本ウェブサイト内に掲載の記事・写真の無断転用は一切禁じます。すべての著作権は琉球新報社または情報提供者にあります。