特集 RSSicon

本土復帰38年 県内覆う「差別感情」 二重基準にいらだち2010年5月16日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 沖縄は15日、本土復帰から38年の節目を刻んだが、今年は例年に増して米軍基地問題の喧噪(けんそう)の中で迎えた。過重な基地負担の解消を訴える沖縄と、抜本的な解決策を見いだせない政府の対立構造は変わらない。だが歴史的な政権交代を経て迎えた今年の県民世論は、普天間飛行場の県内移設への強いいらだちと、従来は表立って訴えることは少なかった、本土から「差別されている」という感情が底流に渦巻いているように見える。
 「戦争の痕跡はなくなったが、基地は厳然と、ほとんど変わることなく座っている。これは日本全国で見れば不公平、差別に近い印象すら受ける」
 4月25日の県民大会で仲井真弘多知事の言葉だ。直前まで出席に逡巡(しゅんじゅん)していた知事が、いつもと違う力強い口調の中に込めた「差別」の二文字が関係者の注目を引いた。
 昨年の衆院選で「最低でも県外」と繰り返した鳩山由紀夫代表率いる民主党が政権を奪取。沖縄は移設先の変更を歴史的な政権交代の象徴ととらえていた。懐疑的だった人も含め、問題の行方に大きな関心を寄せていたのは間違いない。
 だが鳩山首相は県外移設を断念し、名護市辺野古への移設に回帰する考えを示唆。その理由として自民党政権時代と同様の説得力に乏しい海兵隊の「抑止力」を挙げたことが、「政治主導」や「脱官僚依存」を掲げた政権に対する失望と怒りを増幅させている。
 首相との会談を終えた稲嶺進名護市長も「これ以上新しい基地を持ってくるのは沖縄に対する差別ではないか」と言及している。
 基地問題での県民の鬱積(うっせき)した思いを「マグマ」と例えたのは稲嶺恵一前知事だった。「本土に受け入れ先がない」と閣僚が繰り返す一方、県議会全会派が県外・国外移設を求めた沖縄に負担を強いる「二重基準」という構造的な差別に、マグマは向き始めている。
(与那嶺明彦)


次の記事:生まれ島に本格芸能 粟国で新...>>
アイコン 今日の記事一覧 アイコン 今月の記事一覧 アイコン 最近の人気記事


特集一覧


過去の記事を見る場合はこちらをクリックするか、 ページ右上のサイト内検索をご利用ください。