取り調べ中に捜査員が容疑者に平手打ちなどの暴力を振るったり、飲食物を与えたりするなど、警察官が守るべき国家公安委員会規則に違反した禁止行為が、2009年度は全国の警察で計29件あった。警察庁が20日発表した。
富山県や鹿児島県で強引な取り調べによる冤罪事件が相次いだのを受け、警察庁は捜査担当者以外の警察官が、外から透視鏡などで取調室内の様子を点検する取り調べ監督制度を実施。容疑者の体に接触▽壁をたたく▽たばこやジュースの提供などの便宜供与――など7項目を監督対象の禁止行為とし、08年9月から試験実施し、09年度からは全国の警察署に広げた。
09年度は、任意の事情聴取を含むほぼすべての事件の取り調べ約175万件を監督対象とし、事件1件あたり平均1.3回、のべ約220万回、取り調べを点検した。容疑者らからの苦情も受け付け、容疑者を平手打ちにした暴力が2件、壁をたたいた行為が1件、飲食物などの便宜供与が21件、事前承認を受けない時間外の取り調べ2件などの禁止行為が計29件あった。暴力など計3件は、担当捜査員が減給などの懲戒処分となった。
佐賀県警の巡査部長は昨年9月、自転車を盗んだ疑いがある高校生を任意で取り調べ中、「本当のことを言え」と言って胸ぐらをつかみ、ほおを1回平手打ちした。巡査部長は特別公務員暴行陵虐容疑で書類送検され、不起訴処分(起訴猶予)となった。
大阪府警でも昨年5月、巡査部長が、自動車を盗んだ容疑で逮捕され、取り調べ中の男性=嫌疑不十分で不起訴処分=のほおを1回平手打ちした。否認する男性の態度に怒ったためという。巡査部長は特別公務員暴行陵虐致傷容疑で書類送検されたが、示談が成立したとして不起訴処分(起訴猶予)となった。