【ソウル共同=角田卓士】黄海で3月下旬に起きた韓国海軍の哨戒艦沈没について、韓国軍と民間専門家の合同調査団は20日、調査結果を発表、「北(北朝鮮)製の魚雷による水中爆発」が沈没原因と断定し、魚雷は「北の小型潜水艦から発射された以外に説明できない」とした。これを受け、韓国政府は日米両国と連携して国連安全保障理事会に問題提起する準備に着手、南北貿易縮小や米韓合同軍事演習実施など対抗措置の本格的な検討に入る見通し。
沈没への関与について「でっち上げ」と否定している北朝鮮が強く反発するのは確実で、韓国が報復攻撃を行う可能性はないが、南北間の緊張が高まるのは必至。核問題をめぐる6カ国協議再開を探る動きが中断することも避けられない。 発表によると、沈没現場周辺で今月15日に魚雷のスクリューや推進機関などの部品が回収され、北朝鮮が海外輸出用に作成した武器紹介資料に掲載されている音響追跡式の大型魚雷「CHT―02D」の設計図と一致。魚雷後部の推進体内部に「1番」とのハングル表記が見つかり、韓国軍が入手している北朝鮮の魚雷に記されている表記方法と同じだった。
シミュレーションの結果、哨戒艦左舷の約3メートル下方で弾頭重量250キロ規模の魚雷が爆発、衝撃波と気泡の圧力で船体が二つに切断されたと結論付けた。爆発力は「CHT―02D」とほぼ同じだった。
また北朝鮮の小型潜水艦が哨戒艦沈没当日の2〜3日前から黄海側の海軍基地を離れ、沈没の2〜3日後に戻ったことも分かった。
李明博(イミョンバク)韓国大統領は来週初めにも国民向け談話を発表、断固とした対応を取る考えを表明する見込み。26日にはクリントン米国務長官が訪韓、柳明桓(ユミョンファン)外交通商相らと会談し米韓連携強化を再確認する。
合同調査団は米海軍や英国、オーストラリア、スウェーデンの専門家も加わった国際チームで「科学的で透明性のある調査」を目指した。