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【長野】

旧石器研究の手本へ 県内最古級、飯田の竹佐中原遺跡

2010年5月20日

竹佐中原遺跡で出土した旧石器時代の石器=長野市の県埋蔵文化財センターで

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 県埋蔵文化財センター(長野市)は19日、飯田市竹佐の竹佐中原遺跡について、発掘から10年がかりで調査結果をまとめ発表した。出土した石器群は、中期・後期旧石器時代にあたる約3万〜5万年前のもので、県内最古級のものの1つと判断した。調査にあたっては、2000年に上高森遺跡(宮城県)で発覚した旧石器発掘ねつ造事件を受け、再発防止策を講じてきた。

 同センターによると、同遺跡では00から06年まで計7回の発掘を実施。石器群は4カ所の地下50〜70センチで見つかり、800点以上の石器などが出土した。担当者は「これだけたくさんの遺物が出た遺跡は珍しい」と話す。ただ、年代については、地層や炭素、火山灰など細部にわたって分析したが、年代を特定できず幅をもたせたという。

 調査にあたって同センターでは、ねつ造事件を受け、発掘作業の公正性を保つため、石器が出土した01年、6人の専門家による「調査指導委員会」を設置。早期に出土品を公開するなどの再発防止策を徹底してきた。

 同委員長の戸沢充則明治大名誉教授は「旧石器研究において、全国の手本となる結果がまとまった」と述べ、大竹憲昭調査部長は「失われた信頼を回復するため、10年間できる限りのことをした。記録保存調査としては、モデルケースと言える」と語った。

 同遺跡の出土品100点などは7月8日〜8月1日、伊那市西町の県伊那文化会館で展示される。問い合わせは、同センター=電026(293)5926=へ。

 (柚木まり)

 

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