コラム

2010年05月19日号

【ジジイの呟き】
陸山会事件・検察審査会の「起訴相当」議決を受けた再捜査は終了、「東京地検は検審に捜査範囲を明確に示すべきだ。それでないと検審は『不起訴理由』がわからない」


●読売新聞配信記事
 読売新聞は19日、《小沢幹事長不起訴へ…石川議員「了承得た」》という見出しで次の記事を配信した。
 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、同会元事務担当者・石川知裕衆院議員(36)(起訴)が東京地検特捜部の再聴取に対し、同会が2004年に購入した土地代金を政治資金収支報告書に不記載とする方針について「小沢氏に報告し、了承を得た」と、改めて小沢氏の関与を認める供述をしていたことが分かった。

 ただ、検察当局は、石川被告の供述は依然として具体性が乏しく、小沢氏との共謀までは認められないとして、今週中にも小沢氏を再び嫌疑不十分で不起訴とする方針。

 特捜部は小沢氏、石川被告に続いて、18日には同会元会計責任者・大久保隆規被告(48)と元私設秘書・池田光智被告(32)から聴取した。これで、小沢氏に対する東京第5検察審査会の「起訴相当」議決を受けた再捜査はほぼ終了した。

 再聴取で注目されたのは、石川被告の供述だった。石川被告は逮捕後の取り調べで、陸山会が小沢氏からの借入金4億円で04年に購入した東京都内の土地の代金を同年分の収支報告書に記載しない方針について、小沢氏から了承を得たなどと供述。同審査会は、この供述が、小沢氏の共謀を示す直接的な証拠と認定していた。関係者によると、石川被告は17日の事情聴取にも、同様の供述をしたという。

 不起訴を受け、同審査会は第2段階の審査に入るが、同審査会が再び「起訴相当」と議決すれば、小沢氏は裁判所が指定する弁護士により強制起訴される。

●ジジイの呟き
 政権与党の幹事長から3回も事情聴取して不起訴にした例はない。もっとも3回目は検審の「起訴相当」の議決による事情聴取だった。
 どうして東京地検と検審の議決が食い違うか。それは東京地検が「1月14日、小沢氏関係に強制捜査に入る際から、捜査の範囲を「政治資金規正法の虚偽記載」に絞っていたのではないか。あるいは縛りがかかっていたのではないか、と私は思う。

 石川議員は売り主に「10月29日に土地代金を支払いながら、登記留保を頼んでいる。売り主は信用のある業者だから、2重売買される懸念はなかったが、2重売買も、ブローカーがまだ、売れていませんと持ち歩く可能性もあった状態にしていた」のはまぎれもない事実である。なぜ、こんな隙のある依頼をしたのか、

 私は「登記留保」と「銀行融資」「収支報告書の虚偽記載」は同一目的でなされたと推測している。

国民の大半、検審も「土地購入の動き」から「銀行融資」へと進み「政治資金規正法の虚偽記載」に捜査が進んだとみていた、と思う。
 東京地検はいつ、捜査・処分範囲を確定させたのか、捜査の絞り方に検審との食い違いの生ずる問題があったと思う。歴史に残る最高権力者に関わる事件だけに説明不足である。

 土地の動きを調べれば、誰の目にも小沢氏の供述は不自然に写る。「政治資金規正法違反(収支報告書の虚偽記載)」だけ、切り取って処分対象にしたのだろうが、政治資金規正法の趣旨、目的に反すると私も思う。


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