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きょうのコラム「時鐘」 2010年5月20日
参院のドンと呼ばれた自民党の青木幹雄氏が引退を決め、後継に長男が決まりそうな選考に河野太郎氏が異議を唱えた
その理由が世襲への批判だったというから恐れ入る。「そんなこと、よく言えるね」である。本人も世襲議員ではないのか。党内でもそうした声があったというが、二、三世議員の感覚が世間の常識とずれている現実を垣間見た思いだ 米国の大統領がブッシュ氏で、日本の首相が福田康夫氏だったころの政治小話がある。「米国は北朝鮮と同じだ。親子で大統領をして民主主義だと言っている」と笑った者がいた。それを聞いた福田氏が青筋を立てて怒った。「それのどこが悪い!」 安倍内閣時には作家の堺屋太一氏が日本政界を「ベルサイユ化」と評した。地方の実情も知らない世襲のルイ16世が取り巻きの貴族と政権を担うのに似た危うさを言ったのである。後の麻生内閣の末路はほぼ指摘通りとなった 迷走続きの鳩山首相の体たらくを、民主党の問題としてではなく、自民党時代から続く世襲首相の「縮小再生産」の結果と考えれば理解できる点が少なくないと思うが、どうだろう。 |