光州事件30周年:記念式典、異例の分散開催(上)

『あなたのための行進曲』斉唱の排除に市民団体などが反発

 5・18光州民主化運動(1980年5月18日に光州で起こった民主化要求、光州事件)30周年記念式典は、公式追悼曲をめぐる国家報勲処(国家功労者を礼遇し、軍人・退役軍人の支援事業を行う省庁)と「5月団体」(犠牲者の遺族会、負傷者の団体、逮捕された負傷者の団体の総称)、そのほかの市民団体の対立により、会場を2カ所に分散して行うという異例の事態となった。これは、5・18光州民主化運動記念式典が政府の公式行事として行われるようになった1997年以降、初めてのことだ。

 18日午前10時、国家報勲処の主催による記念式典が行われた、光州市北区雲亭洞の国立5・18民主墓地。「民衆の国歌」といわれる『あなたのための行進曲』の斉唱は、式次第にはなかった。「愛も名誉も名前も残さずに…」という歌詞で始まるこの歌は、5・18光州民主化運動の当時、市民軍のスポークスマンだった故ユン・サンウォン氏と、故パク・ギスン氏の「死婚式(結婚前に死亡した男女を結婚させ、魂を鎮める)」をモチーフにして作られたもので、1982年に発表された。それ以降、デモの現場でたびたび歌われ、代表的な民衆歌謡(民主化運動や労働運動、学生運動などの闘いの中で作られた歌)として定着し、2004年からは5・18光州民主化運動記念式典の公式追悼曲として斉唱されてきた。だが、国家報勲処はこの歌が、「国家行事の性格と相容れない」との理由を挙げ、昨年に続き今年も式次第から除外した。報勲処は昨年、別の追悼曲を選定しようとしたが、「5月団体」や光州市民の反対により中止を余儀なくされた。

 今年の式典でも、『あなたのための行進曲』の斉唱が式次第から除外されたため、「5月団体」の代表者や一部の会員らが政府に抗議し、式典への参加を取りやめた。また、式典開始の10分前には、「5月団体」のメンバー約100人が、墓地の「民衆の門」の下に集まり、『あなたのための行進曲』を10分間歌いながら、「この歌を追悼曲から除外することは、5・18光州民主化運動の精神を否定するものだ」と抗議した。さらに、式典が始まり、鄭雲燦(チョン・ウンチャン)首相が式辞を述べる最中、メンバーらが検問所を突破して会場に乱入し、警察官ともみ合いになった。メンバーらは式典が終わるまで、40分にわたって会場に居座り、同曲を歌いながら、政府を非難するスローガンを叫び続けた。

 同じころ、墓地から1キロほど離れた、かつての犠牲者の共同墓地でも、別の「5・18光州民主化運動30周年記念式典」が行われた。政府主催の式典で『あなたのための行進曲』が排除されたことに抗議し、光州市の市民団体によって結成された「5・18民主抗争記念行事委員会」が、独自に行った記念式典だった。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る