痴漢“無実”証明できぬまま自殺 息子信じる母、目撃者捜し続く
2010年05月19日23時04分 / 提供:産経新聞
昨年12月、ある青年が痴漢の疑いで警察の事情聴取を受けた。東京・JR新宿駅で「女子大生の腹を触った」という疑いだ。青年は強く否定したが、聴取の翌朝、自殺。その後、痴漢容疑で書類送検され、被疑者死亡で不起訴となった。一人息子を失った母は訴える。「息子は無実なのに、このままでは永遠に『痴漢』のレッテルを張られたままです」−。(千葉倫之、福田涼太郎)
「(痴漢容疑は)私はまったく関係ありません。どれだけ憔悴(しょうすい)しても、状況が変わっても、関係ないものは関係ない」
昨年12月11日未明、警視庁新宿署。私大職員の原田信助さん=当時(25)=は捜査員に必死で訴え続けた。遺品の携帯ボイスレコーダーに聴取での原田さんの肉声が残っていた。
「事件」があったのは前日の10日午後11時過ぎ。同署によると、新宿駅構内の通路をホームへ歩いていた原田さんは、男性2人、女性1人の大学生グループとすれ違った。ともに酒を飲んだ後だった。
しばらくして女性が「おなかを触られた」などと訴えたため、男性2人が引き返し、原田さんを「犯人」とみて、1人がつかみかかった。警察官や駅員も駆けつける騒ぎとなった。
「いきなり殴られ、階段から引き落とされ馬乗りで床に頭を打ち付けられた。私は暴行の被害者です」
新宿署での聴取で、原田さんは一貫して主張。レコーダーには最初は激しい口調だったが、次第に憔悴し、つぶやきや泣き声をあげる原田さんの様子が収められていた。
聴取は未明まで続き、「暴行を受けた件で呼び出しがあれば」再び出頭すると確約書を書いた原田さんは午前6時前に署を出た。そして6時40分、新宿区の地下鉄東西線・早稲田駅のホームから電車へ身を投げ、死亡した。
「息子は聴取の途中まで、痴漢の疑いをかけられたことにも気付いていないし、目撃者捜しや防犯カメラの調査も頼んでいる。自分で110番もしている。痴漢扱いされて絶望し、命を絶ってしまった」。原田さんの母、尚美さん(53)はこう訴える。
実は、新宿署は事件後、尚美さんに「容疑は晴れた」と説明していた。しかし、今年1月29日に一転、原田さんを痴漢(東京都迷惑防止条例違反)の容疑で書類送検。被疑者死亡で不起訴となった。
同署によると、女性は触ったという人物の顔を見ていない。唯一の物証は防犯カメラの映像だという。「女性の『(誰かに)触られた』という証言は信用できる。すれ違った瞬間はカメラの死角だが、証言と同じタイミングで触れる人は原田さんしか写っていない。証言と映像で複合的に判断した」と説明する。
一方、尚美さんは「暴行事件が一方的な言い分で痴漢事件にされてしまった。カメラの映像を開示してほしい」と反論する。
なぜ「容疑は晴れた」との説明を覆したのか。同署は「当時はカメラを確認する前だった」と釈明し、こう話す。「本来は立件するような事案ではなかった。母親の『暴行』との訴えや、相手の女性の気持ちも考慮した結果、白黒つけるべき話になった」
尚美さんは、大学生側を被疑者とする暴行容疑での被害届と告訴状を同署に出したが、「(大学生の行動は)痴漢の行為を引き留める行為の一環」(同署)として、不受理となった。
「目撃者を探しています」。5月中旬、午後10時過ぎの新宿駅。現場近くの通路にビラを掲げる尚美さんの姿があった。3月初めから毎夜のように続けている。目撃証言を寄せてくれる人も現れ出した。
「真実を明らかにして、息子の無念を晴らしたい」
原田さんは平成20年に早稲田大を卒業。JAXA(宇宙航空研究開発機構)を経て昨年10月、私大職員に転じた。事件当日は新しい職場の歓迎会帰りだった。
「明るくまじめな勉強家」と友人は口をそろえる。大学サークルの同級生の男性(25)は「親思いで、就職が決まって『これで母を安心させてあげられる』と話していた」。先輩の女性(28)は「誠実な人。あらぬ疑いをかけられ、本当に悔しかったんだと思う」と話す。
「真実」はどこにあるのか。原田さんはもう弁明できない。「事件のために仕事をなくしても何でもよかった。せめて生きていてくれたら…」。尚美さんは言葉を絞り出すと、涙を落とした。
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